Pick Up 2014シーズン

Pick Up 20xx

過去のシーズンを振り返る「Pick Up 20XX」のコーナー。第1弾はちょうど10年前となった2014年シーズンの紹介です。ハイブリッドエンジン「パワーユニット(PU)」の導入と共に新時代を迎えたF1ですが、期待に反してまぁひどい一年でしたねぇ……。

チャンピオン争い

メルセデス一強

パワーユニット元年の2014年はエンジン規定の制定前から入念にロビー活動を行っていたとされるメルセデス一強のシーズンでした。リーマンショックに逆行して参入し数少ないワークスチームという強い立場で新エンジン規定に関与、その後そのルール下で栄華を極めるとはなんともしたたかな動きでした。王座を逃した2021年ですら終盤最強PUはメルセデスで、結局マシン規定が再び空力メインに変わるまで誰も彼らの優位性を止めることができませんでしたねぇ。

対抗馬はチームメイトのロズベルグでした。期待の新人から長い下積みを経てようやく掴んだタイトル争いのチャンスでしたが、初年度はハミルトンに一歩及ばず。というか書いていて思い出しましたが、この年の最終戦だけ盛り上げるためにと「ダブルポイントルール」なる意味不明なものが採用されましたよね?この後も嫌な思い出が続きますが、つくづくひどいシーズンでした……。

中団勢

メルセデスにあらずんばF1にあらず

搭載パワーユニットによる戦力差があまりにも絶望的だったこの年。当時メルセデスに支配されつつあったウイリアムズはその恩恵を存分に受け、表彰台を連発し復活を印象付けました。当時はこのままメルセデスのジュニアチーム化する憶測も多々ありましたが、独立の道を選びこの後に再び低迷。そのため独り立ちでの最近のチームの堅実な復活は嬉しいですね。マッサのメルセデスを止めたポールポジションはかっこよかったなぁ。

中堅チームだったフォースインディアもメルセデスPUの力を授かり、表彰台を獲得する強豪チームへと変貌しました。シーズン序盤のバーレーンGPでペレスが早々に表彰台を獲得した時はヒュルケンベルグもついに!と思いましたが、あれから10年経っても未だ未登壇……。そんなペレスがフェルスタッペンの相方として叩かれに叩かれシートの危機に瀕する一方、なぜかヒュルケンベルグはアウディの噂が流れるなどシートのチャンスは潰えません。この残留力が荒れたレースでも発揮してくれればねぇ……。

ニュースター

メルセデス勢が支配する2014年シーズンで気を吐いたのが前年王者のレッドブル。しかし優勝したのはベッテルではなくこの年昇格したリカルドでした。非力なルノーPUながらメルセデスのトラブルを突いたカナダGPで初優勝を挙げると、ハンガリーGPでは実力で蹴散らして2勝目を挙げトップドライバーとしての地位を確立しました。レッドブル育成はその大記録ゆえベッテル以上の才能が期待できなかっただけに、まさに新星っていう感じでしたね。

同じく躍進を果たしたのが好調ウイリアムズの若手ボッタス。初優勝こそなかったものの6度の表彰台獲得でランキング4位という2年目とは思えない好成績を残し、ベテランの僚友マッサを破ったことで一躍注目株の一人となりました。その後メルセデスに引き抜かれるまではよかったものの、ハミルトンとの比較でボロボロに……。現在はザウバーに移籍して来るアウディのシートを狙っています。10年を経て、その立場はこの年のベテランチームメイトに近づきました。歴史を感じますね。

サプライズ

チャンピオン達の低迷

前年王者のベッテルがまさかの未勝利に。ルノーPUという非力なエンジンであったとはいえ、チームメイトのリカルドが3勝も挙げたことで言い訳できない不振となり、フェラーリ移籍という大きな決断をした年となります。引退した今、個人的にベッテルの歴代マシンでは一番印象が薄いかなぁ。

見ているだけで辛くなるF14Tを駆るアロンソ。とにかく非力で遅いマシンでした。アロンソのイライラが限界に達し、無線でチームを罵倒する日々が続いた後半戦。このイライラ状態のままマクラーレンホンダに移籍して更なるトラブルを引き起こすのですが、2013年の前半に2勝を挙げ3度目のタイトル目前というところから後半戦のタイヤ変更でベッテル9連勝、そしてこの2014年です。仕方ないのです……。

同フェラーリのチームメイト、ライコネンのマシン。私は彼のファンですが、この年で記憶に残ったシーンが一つもないです……。得意のベルギーGPの最高位4位がハイライトなのかなぁ。そこまで価値が高いわけでもないのですが、人気が無いのか流通がなく手に入れるのに苦労した厄介な一台。迂闊に手放せませんね。

こちらも2年連続表彰台に登れなかったバトン。正確には開幕戦で繰り上げ3位となっていますが、事後の裁定のためシャンパンファイトには参加できませんでした。マクラーレンはメルセデスPU勢だったものの翌年からホンダPUへの変更が決まっていたため、カスタマーの中では多くの制限があったとも言われます。その後ルノーPUを経て2021年に7年振りによりを戻しました。長い遠回りでしたねぇ。

予想外の突起ノーズ

Tボーンクラッシュのダメージ回避のため年々引き下げられていたノーズ先端の高さですが、ノーズ下に空気を流したいチームの抵抗は続き2012年に段差ノーズが登場するとこの年は突起ノーズが登場しました。新PUによってNAの甲高いエンジンを失っただけでなく、ルックスすら悪化したこの年のF1。PU搭載で重量も上がり、鈍い音のもっさりした挙動のマシンが突起ノーズを付けて走り回るという地獄絵図のようなシーズンでしたね。

突起ノーズだけでなくロータスは先端が割れたフォークノーズを搭載。規定で先端が一点ではないといけないようで、左右非対称という歪さこの上ない不気味なマシンも登場しました。案の定このマシンに乗った暴れん坊マルドナードが追突して相手マシンを宙に一回転させるという荒っぽい見た目の期待に応えるイベントも発生。「F1って何なんだろう」と考えさせられる年でしたねぇ。

スパークが勢力拡大

F1ミニカー事情としては、この年2010年から新規チームと参戦したスパークがレッドブル・メルセデスを筆頭に中堅チームまで取り扱い勢力を拡大。ミニチャンプスとどちらを選ぶかという今日までの問題が発生した年でした。初年度はミニチャンプスの圧勝でしたね。しかし生産が割れた分2014年のミニチャンプスモデルは中古価格が非常に高止まりしていて、折れそうなノーズがあるので輸送するのがとても怖いです。

日本勢

この年は小林可夢偉がケータハムより参戦。残念ながら結果はあまり良いものではなかった(正確に言えばあまりにもひどかった)のですが、2013年に初めて日系チーム・ドライバー・主要サプライヤーが不在となったため鈴鹿の契約延長のためにも貢献は多々あった年なのかなと、今振り返れば評価することができますね。

この年一番のお気に入りモデル

そんな不満たらたらな2014年シーズンですが、私のお気に入りモデルはこちらのマルシャMR03モナコGP仕様です。ビアンキが入賞したモデルですね。彼については来年の夏ごろにまとめて紹介しようと思っていますが、チーム・ドライバー共に失われた後に残した記録がモデル化されたことは非常によかったなと思います。残念ながら別注してくれたショップも失われてしまいましたが……。

Pick Up シリーズ初回、Pick Up 2014はいかがでしたでしょうか。2019年以降にレッドブルホンダ・フェルスタッペンを知って応援し始めた人にとっては新しい、それ以前から観ている人にはあったなぁ(というかちょっと思い出したくないなぁ……)という感想を持っていただけたら嬉しいです。この記事や経由して各マシンの記事が読まれることがあれば、他の年も取り扱っていきたいなと思います。目指せ人気カテゴリー!

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