トロロッソ STR9 J.E.ベルニュ

アルファタウリ・トロロッソ2014

遅すぎた本領発揮

【ミニチャンプス  トロロッソSTR9  J.E.ベルニュ 2014】

ベルニュ最後のF1マシンとなったこの「STR9」。3年間のキャリアの大半は目立たないドライバーでしたが、最後に闘志むき出しの走りで強い印象を残してF1を去りました。 

ベルニュは2012年リカルドと共にトロロッソからデビューしましたが、この頃のトロロッソの低迷もあり目立った活躍はありませんでしたね。2014年はレッドブル昇格をリカルドに先越され、失意の中迎えたシーズンとなりました。

シーズン半ばにはフェルスタッペンやサインツら後輩のデビューが頻繁に話題に上り、必然的に彼はシートを喪失するだろうという見方が強まる中でベルニュはようやく覚醒の時を迎えます。F1に残ろうという、まさに鬼気迫る走りでオーバーテイクを連発しファイターとして魅力あるドライバーに突如成長しました。シンガポールGPはその追い上げから彼のベストレースとなりましたね。これが1年目から出来ていれば、と思わずにはいられませんが……。

ジェームス・キー体制2年目のトロロッソは大型ルール変更にレッドブルと異なるアプローチを見せました。ちゃんと「2チーム別々に開発」している感じが一番あった頃ですね。この「STR9」のノーズはこの年もっともインパクトあるアリクイノーズでした。トロロッソは以後数年間は入賞圏内でバトルができるいいマシンを連発していくのですが、あまり続かなかったのが残念です。

2度のレッドブル昇格のチャンスをリカルドとクビアトに奪われてしまったベルニュ。その判断は間違っていると世界に示すかのような走りで、最後は多くの視聴者に「もう少し彼を見てみたい」と思わせることができたのではないでしょうか。シーズン終了後にはフォーミュラEへ移籍しセンセーショナルなデビューを果たし、フェラーリのテストドライバーにも就任したことで上手キャリアを繋ぐことが出来たのが幸いですね。

最後が最後だけに、最初の2年間が勿体無いベルニュのキャリア。1年目から結果を出さないといけないというこの教訓が、今日のレッドブル育成の過度なプレッシャーに影響しているのでしょうかね。

彼を差し置いてレッドブル昇格を果たしたクビアトもわずか1年たらずでシート喪失。後年の出来事を知るともし彼が昇格していてもフェルスタッペン・サインツに瞬殺だったと思いますが、2014年最後の数戦のベルニュはかっこよかったんですよ……。

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