引退するということ

【ミニチャンプス レッドブルRB4 D.クルサード 2008】
1994年にデビューしたクルサードが引退した際の2008年最後のマシン。私にとって初めてみる「ベテランドライバーの引退」でしたが、見ていてわかる衰えが悲しくなりました。

開幕戦でフェラーリのマッサと接触しリタイアから始まった2008年シーズン。マッサも強引でしたがクルサードもミラーを見ていなかったかのような、かなり激しい接触でした。以降のクルサードはミスが多く、シーズンを通してクラッシュによるリタイアが5回、入賞はわずか2回という散々な成績でラストイヤーを終えます。

それでも上位がピットレーンのクラッシュでリタイアしたカナダGPではミスなく生き残り3位表彰台を獲得。これがキャリア最後のポディウムとなりました。その1か月後に引退を表明し後任にトロロッソからベッテルの昇格が決まったことで、クルサードは05年に「新規チームを立ち上げる」ために雇われたベテランとしては十二分な働きでF1を去ります。

姉妹チームのトロロッソ「STR3」とそっくりな見た目ながら初優勝を先越されてしまった本家「RB4」。ウェバーがシーズンの半分を入賞したもののクルサードの取りこぼしが多く10点もの差をつけられてコンストラクターズ順位も負けてしまいました。レッドブル-トロロッソの2チーム体制以降、本家が育成チームに負けたのはこの年だけなのでベッテルの勢いとクルサードの衰えが目立ちますね。

予選での速さもなければ決勝も「不注意な」ミスが目立ち、これがベテランが衰えて引退するということなんだと私の記憶に強く刻まれたクルサードの2008年シーズン。以来、キャリア終盤のベテランの不用意なミスを見るとこの年の記憶が蘇り、「引退近いのかな……」と不安にさせられてしまいます。
思えば2021年のライコネンの序盤戦も変なミス・接触があったし、どんな実力者も最後はこうして衰えていくのでしょうか……。2025年のアロンソの序盤の不運は衰えなのか、耐えて踏ん張っているのか、ドキドキしながら見守っています。
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