ニューウェイ始動

【ミニチャンプス レッドブルRB3 D.クルサード 2007】
前年加入した天才デザイナー、エイドリアン・ニューウェイが手掛けたレッドブルマシンの第一弾がこちら。ドライバーも新たにベテランのウェバーを迎え、今日までの黄金期の基礎を築きました。

前年から見た目が激変したこの「RB3」はとにかくマシントラブルが多く、前半戦はリタイアばかりで目立った活躍がありませんでした。しかし中盤、大雨で荒れたニュルブルクリンクでのヨーロッパGPでウェバーが3位表彰台を獲得。さらに同じく雨で荒れた日本GPでも一時2位を走行するなど、後半にかけて目に見えて成績を向上させていきました。

表彰台も含めて全体的にウェバーに見劣りしたクルサードですが、日本GPではそのウェバーが2位走行中にトロロッソのベッテルに追突されリタイアするとその分ポジションを上げ4位で完走するなどベテランとしての役目をしっかり果たしました。ただシーズンを通してやはりウェバーに負けた印象が強く、思えば緩やかにその存在感が消えつつあったように思いますね。

「いくら天才デザイナーとはいえ加入1年では何も変わらないだろう」と思っていた新参ファンの私はこの急進的なルックスの「RB3」の登場に度肝を抜かれた記憶があります。当時はまだニューウェイマシンは信頼性に乏しいという難がありこのマシンも例に漏れませんでしたが、以降のレッドブル時代でこれを克服しベッテル・フェルスタッペンと共に金字塔を打ち立てました。
私が2026年のアストンマーティンでのアロンソ・ニューウェイのタッグに大いに期待する理由がこのマシンなんですよね。わずか1年でこれだけ様変わりするので、きっと大化けするに違いない……。

レッドブル本体での育成プログラムを一時休止し、ベテラン二人で新デザイナーと共にマシンを煮詰めた2007年。この判断は大当たりで、以降20年近く続く黄金期の礎となる一年となりました。
ニューウェイのデザインが機能しチームの牽引役としてウェバーが活躍と、クルサードはその役目を終えつつあり翌年の引退に繋がるのですが、2005年にチームに加入して以降の彼の働きはもっと評価されてよいと思います。新チームを安定させるも一苦労なのに数年でトップチームを作り上げるなんて、さすが名門マクラーレンで長年働いた経験は伊達じゃないですね。
前年荒れたモナコGPを生き残りなんとかチーム初表彰台を記録したレッドブル。とても安定して表彰台を狙えるチームではなかったのですが、たった一年で上位を虎視眈々と狙う存在にまで進化しました。ニューウェイ、恐るべし……。
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