映画 F1 The Movie 感想

イベントレポート

ネタバレありの感想です。見ていない方は鑑賞後にご覧ください。

6/27に公開された話題作「F1 THE MOVIE」を見てきたので感想です。アメリカでの試写会直後の評価が5点満点で3.6点、主な減点理由は説明が多いからというものでしたが、個人的に点数をつけるとしてもそれくらいかなと思います。

良かった点

圧倒的な映像

とにかくこれは素晴らしかったです。文句なし。マシンに特殊カメラをつけての走行シーン撮影と聞いていましたが、非常に迫力のある映像ばかりでした。とくにインディのような前後に動くモノコック上のカメラとか、とても臨場感があってよかったですよね。あのカメラ、公式映像にも採用されないでしょうか……。

F1全面協力、の意味

ドライバーやチーム代表が登場するシーンが多く、F1ファンにはたまらない演出が多かったですね。個人的にアロンソとトト・ウォルフが名演だったと思います。あとはマクラーレン・テクノロジーセンターがこれでもかとフィーチャーされていたのもよかったです。雑誌やSNSなどで断面を垣間見ることしかできませんでしたが、映画の舞台にできるほど美しかったですね。

ハミルトン監修のラストシーン

衝撃的な展開となったラストシーン、こと21年アブダビGPの再現ですが、この展開で首位ハミルトンが最終ラップでクラッシュして勝利を逃していしまうという演出を彼が許可したのはちょっとほっとしました。21年最終戦直後は表彰式を欠席するほどショックを受けていたと思いますが、映画にできるほど消化されていたんですね。よかったよかった。

グッズとパンフレットはしっかり買いました。このヘルメットは大変よいです。マストバイです。

良くなかった点

説明が多い

レースシーンの解説は必要ですがやっぱりちょっとくどかったですね。F1レースとしてみるとあれが普通なんですけど、映画として見るとノイズだった気がします。ここがトップガンマーヴェリックと一番違いを感じたところで、あちらは観ているだけでスムーズに状況を理解できましたがこちらはレースシーンの難しさが足を引っ張っていました。

ファンならではのノイズ

開始数分で明かされたヘイズの過去を見て「いや、ソニー・ヘイズじゃなくてマーティン・ドネリーじゃん」と思いましたよね。観ている間は完全なフィクションなのか元ネタを意識すべきなのか少々困惑しました。その他にも撮影の都合でしょうが23年と24年の映像が混在しマシンのカラーリングが異なることで、詳しい人であればあるほど「何年が舞台なの?」と混乱したのではないでしょうか。

予告が多すぎた

私は事前に予告を全て見ていましたが、劇中そのシーンの前後がすぐにわかってしまったので場面場面で展開が読めることが多くちょっと残念でした。本筋はソニーの優勝が見えていた話なだけに各レースの細かなドラマを楽しみにしていたのですが、そのほとんどは予告で小出しされていたような気がします。結局これもあって、映像美を楽しむ映画になってしまいました。

結論

そんなわけで賛否両論あり個人的には3.8点くらい、超名作の4点台には乗らないかなーという印象でした。

マーヴェリックの良さは観ていて自然に生まれる期待が次々と圧倒的に実現していくことであって、「ほら、こんなレースしたらすごいでしょ」という展開をご丁寧な解説とともにされても映画としてはちょっとイマイチかも。ですがF1ファンとして語ればこんな作品が作られるのは大変誇らしいことですし、ファンならではの楽しみは山ほどあったなと思います。

余談ですが

かつて1966年にF1を題材にした映画「グラン・プリ」というものがありました。F1人気を受けてハリウッドが制作、F3マシンを改造して当時の最先端技術で圧倒的な映像に挑んだという、まさに今作のルーツともいえる存在です。ハイクオリティな映像で1960年代当時のモナコ・ザントフォールト・スパ・モンツァを見ることができる上、グラハム・ヒルなど当時のドライバーが実名役で登場する大変貴重な映画です。ぜひチャンピオンコレクションを読んでから観てほしいです。

そして一説ではこの作品の技術によってオンボードカメラが生まれたそうです。そんなわけで今私が一番期待することはこの映画「F1」の技術が実際のF1に取り入れられること。あんなカメラでレースが見たいですね。

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