フラッグシップモデル
【ブラーゴ フェラーリF1-75 C.ルクレール オーストラリアGP 2022】
フェラーリF1モデルの版権がマテルからブラーゴに移ったのは2015年、今年で8年目を迎えました。当初ミニチャンプスとの比較で既に酷評されていたマテルをも下回るクオリティでデビューし、コレクターからは散々な言われようだったのですが、徐々に品質が改良されて取り扱いチームも増やし、2022年からはグリッドの半分を占める5チーム供給体制の一大勢力になりました。そんな中でこのF1-75はブラーゴのフラッグシップに相応しい見事なモデルだと思います。
パッと見の第一印象は素晴らしく、特徴的なボディの曲線美が見事に表現されている一台で満足度は高いです。残念ながらタイトルは逃しましたが、近年のフェラーリの中では成績・ルックスともに最高のF1-75で、それをしっかりモデル化するんだという意思を感じるモデルとなっています。価格帯的にはトイメーカーに属するブラーゴですが、ミニカーブランドとしてフェラーリをリリースしていることへのプライドを感じますね。
特徴的なリアカウルのスリットはくぼみで表現されていますが、ちょっと浅いですね。でもガンプラ用の墨入れペンなどでラインを引いてあげれば見た目は格段に良くなると思います。その他目立つ荒といえばつやつやのタイヤくらいなもので、こちらもやすりで磨けば簡単に解決しそうです。このモデルを買っても、「俺のF1-75はブラーゴだからなぁ…」と卑下する必要はなく十分F1-75のミニカーを持っています!と胸を張れる出来ですね。
絶賛する理由はやはりその価格。これで税込み4,500円はこの時代にはありえないプライスです。19年のモデルより3年で1,000円値上がりしていますが、それでもミニチャンプスやスパークと比較すれば十分すぎるほどの価格設定です。4,500円といえばミニチャンプスやマテルでいうと06-07年くらいのモデルがこの価格でしたが、ミニチャンプスには及ばないものの当時のマテルには出来で十分勝っていると思います。
前年SF21との同社比較。このシリーズで個人的に残念なポイントは2つあり、一つはパーツが分割されていることによる継ぎ目が目立つこと。こればかりは価格を思うとどうしようもありません。もう2つ目はサスペンション、特にフロント周りだったのですが、これは22年の規定で解消されました。
このシリーズのフロントサスペンションはホイールと接続しておらず、21年までのマシンは完全に車体から突起が「生えている」状態でタイヤとの隙間が絶望的に安っぽかったのですが、22年マシンから小型のホイールアーチがついたことでこの隙間が隠され欠点が一つ消えました。素晴らしい。
褒めちぎったところでここから残酷なルックスマートとの比較画像。
深々とパーツの継ぎ目のスリットが目立つうえ、並べると小ぶりのヘルメットや太いアンテナも悪目立ちしますね。リアタイヤ前のフロアステーなど、比べてみると色々欠けていることに気づきます。ただ、この2台の間には価格差が3倍以上ありますからね。その差に1万円払えるならルックスマートを買うのが正解でしょうし、フェラーリのミニカーが欲しいだけならブラーゴで十分だと思います。
上からの比較。前述した通り、リアカウルのスリットに黒いラインを引いてあげると見栄えが段違いに良くなるのでしょう。そのほかカーナンバーやデカールの位置が細かく違いますが、これはルックスマートがバーレーンGP仕様なのに対してブラーゴがオーストラリアGP仕様となっているが故の違いです。カウルのスリットを除けば気になるのはヘルメットのサイズくらいかな?つくづくフロントタイヤにカバーが付いてよかったと思います。
ミニチャンプスやルックスマートで揃えている人、これまでフェラーリはルックスマートと決めていた人にとってはわざわざブラーゴに鞍替えする必要はありません。買えるならルックスマートを買うのが正解でしょう。
しかし、「F1のミニカーが欲しいけど予算が……」「F1ミニカーはどれを買えばいいかわからない」という人にはぜひおすすめです。特に「F1ミニカー欲しいけどブラーゴって安いだけで微妙なんでしょ」と思っている人にはぜひ手に取ってほしい1台です。フェラーリファンにはマストバイと言ってもいいモデルだと思います。本当、令和の時代に4500円でこれはすごいよ。
※以下、ブラーゴF1シリーズへの期待と余談
今年から急に5チーム体制になったブラーゴ、年々先細り高齢化していくF1ミニカーコレクター界にとって新規流入の起爆剤になってほしいですね。ここからコレクションを始めていつかはミニチャンプス、みたいな風潮になってほしい……。ミニチャンプスの1台2万円で生産数400台とか、もう客は出せば確実に買う層しか残ってなくてそこに売り抜けて回収みたいなせまーいビジネスですよ絶対。
今年からブラーゴがチームを増やした理由の一つはマシンの規定が変わってデザインが簡素化されたことだと思うのですが、もう一つはフェラーリの好調があるのかもしれません。おそらくフェラーリは版権が高くても台数が出て利益を生み、メルセデスとレッドブルはとんとん、フェラーリ分の利益でアルファとマクラーレンを賄っている感じなのではないでしょうか。かつてマテルも人気のあったシューマッハの引退直後に扱うチームをフェラーリのみに絞りましたもんね。
今後、台数の見込めないアルファタウリ、ウイリアムズ、ハースのシリーズ追加は難しく、人気のあるアルピーヌは同郷メーカーのソリドあたりが持っていくでしょう。そうすると追加の可能性があるのはアストンマーティンくらいかな?逆にフェラーリが売れなくなると、一気に取り扱い台数が減るかもしれません。いずれにしてもF1ミニカーコレクション文化の今後はブラーゴが握っているといっても過言ではないと思うので、今後の展開とそれを支えるフェラーリの活躍に期待したいものですね。
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