予兆あり
【ミニチャンプス トロロッソSTR3 S.ベッテル 2008】
競争力のあるマシンを手にして存在感が増したベッテル。イタリアGPの優勝が印象的ですが、それまでのレースでもいくつも光るものがありました。
旧型STR2Bで走った序盤は4戦連続リタイアという壊滅的なスタートとなったこの年のベッテル。待望の新車STR3はモナコGPで投入されると、得意のウェットコンディションレースという運も味方に5位完走を果たしました。トロロッソの戦闘力を考えれば十分快挙なのですが、前年に雨の中国GPで4位完走を果たしたベッテルにとってはもはやサプライズとはなりませんでしたね。
その後も雨の予選となったイギリスGPで8位グリッド獲得。大雨の決勝は不運にもレッドブルと接触して0周リタイアとなりますが、川井ちゃんの「ベッテル見たかったなー」というコメントを覚えています。さらに後半のベルギーGPでは終盤の突然の雨で優勝争いが混沌とする傍らで着実に順位を上げて5位入賞と、ウェットレースでのベッテルがいつ表彰台を取ってもおかしくない好成績を続けてイタリア・モンツァでのレースを迎えるのでした。
レッドブルの姉妹チームながら搭載エンジンが異なる歪な状況だった当時のレッドブル陣営。PU導入前のV8時代はエンジンパワーの差が注目されることはほぼありませんでしたが、弱小トロロッソにとってリアエンドを自前化することは結構な負担になってそうですよね。案の定この新車STR3も投入が6戦目まで遅れ、しかも壊れやすいモナコGPというリスキーな状況でしたが雨が得意なベッテルにとっては絶好のタイミングでした。この頃のベッテルは本当に運に恵まれていたなぁ……。
イタリアGPでのベッテルの初優勝がいかに偉業であるかは語りに語り尽くされているのですが、その優勝は決してフロックではなくそれまでの好成績の積み重ねの延長であったことがわかる2008年の前半戦。この年は2強の取りこぼしが多く初優勝が3人も誕生したことに加えて、今では当たり前の「異常気象」という言葉が実生活に影響し始めていることを感じた年で例年になく雨のレースの多いシーズンでした。これほどの好条件が揃うこともまぁ珍しいのですが、そこで最大の結果を残すベッテルもお見事なのでした。
ベッテルに次ぐ2人目のトロロッソ(アルファタウリ)ウィナーとなったガスリー。舞台は同じくモンツァサーキットで、さらに彼もまた2019年後半から好成績を残し続けた末の栄光でした。そして今またこのチームで好成績を残し続けているドライバー、いますよね……?
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