あまりかっこよくない
【レッドライン フェラーリF2008 K.ライコネン 日本GP 2008】
シャークフィンを搭載したフェラーリF2008後期仕様。しかし深紅のフェラーリには似合わず、ライコネンにとってはマッサのサポート役の時期だったりとあまりいい思い出はありません。
10月半ばに開催された富士スピードウェイでの日本GP、ライコネンは8月3日に行われたハンガリーGPでの3位表彰台以降このレースまで2ヶ月以上無得点という悲劇的な状況で、この時点で連覇の可能性はほぼ潰えていました。それでも前年同様最後の大逆転に期待したいライコネンは2位フロントローからスタートダッシュを決めて首位に浮上するのですが、ポールスタートのハミルトンの悪質なブレーキングで押し出され大きく順位を落としてしまいます。
この混乱の間に順位を上げたアロンソ・クビサが1-2位だっただけに、クリーンなスタートであればライコネンの優勝確率はかなりのものだったでしょう。上位勢の混乱の隙にアロンソとクビサは大量ポイント獲得、ハミルトンとマッサはその後の接触やペナルティでタイトル争いに向け痛み分け、ライコネンだけがただ一人煽りを受けて順位を落としポイントを失うという、この年の不運を象徴するかのような典型的なレースでした。
シャークフィン付きのF2008後期型といえばタイトル争いに挑んだマッサのマシンという印象が強いですよね。ライコネンは完全にサポート役の落日の時期だったのですが、2006年からフェラーリF1ミニカーの委託製造を始めたレッドラインがようやくドライバーフィグ付きをリリースしてくれたタイミングだったので買いました。
レッドラインは参入初年度の2006年にシューマッハ引退マシンをマイナーな1/24スケールのみでリリース、タイトルを取った2007年は全車種ドライバーレス、そして低迷しつつあった2008年の最後の最後でようやくドライバー付きがリリースされるなど、売り時を逃してしまいましたね。
このレースまではまだタイトルを諦めない姿勢を見せていたのですが、3位に終わり連覇の可能性がなくなったことで翌中国GPにてマッサのサポートを明言、このレースが事実上の終戦レースでした。この年のフェラーリは悪名高い初期型シグナル式ピットストップの導入ミスやエンジン開発凍結直後のブロー連発など問題が多発していたので、ライコネンのトラブルを一つ一つ腰を据えて解決するどころではなかったのでしょう。この年のフェラーリは2020年代以降のチームがタイトル争いで巻き起こすプレッシャーからくるミスとは違う、「今年ダメでもまたすぐ取れるだろう」という驕りと稚拙さがあったように思えてしまいますね。
ここから9年、再びフェラーリでサポート役に徹したライコネン。2017年のモナコGPは優勝のチャンスを譲ったようなものだったので、既に勝てなくなっていた2008年よりもより屈辱的な待遇でした。初期ライコネンは北欧のイケメンキャラそのものの魅力があるんだけど、キャリア後期はサラリーマンの哀愁的な背中にも惹かれるんだよなぁ……。
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