激闘の世代交代

【ミニチャンプス レッドブルRB16B M.フェルスタッペン アブダビGP 2021】
F1史上2度目となる、チャンピオンを争う2人が同点で最終戦を迎えた2021年シーズン。前人未踏の8度目のタイトルに挑むハミルトンに、フェルスタッペンが世代交代を懸けて挑みます。

前年に続いてコロナウイルスの影響を受け、いくつかの変更の末に全22戦で行われた2021年シーズン。2強4人に加えてアルピーヌとマクラーレンがそれぞれ1勝を挙げたものの、シーズンは10勝のフェルスタッペンと8勝のハミルトンの2人だけの戦いで進んでいきます。序盤はハミルトンが前年王者の勢いそのまま勝利を挙げますが、中盤からはフェルスタッペンが3連勝を挙げて大きくリード。しかしシーズンを折り返すイギリスGPで両者が接触しフェルスタッペンがリタイアすると、以降2人の順位は目まぐるしく入れ替わりました。

後半戦もフェルスタッペンのリードにハミルトンが食らいつき、最終盤で3連勝を挙げ同点に持ち直すなどレースごとにチャンピオンシップの状況は変わっていきます。そして同点のまま迎えた最終戦、レースの大半をハミルトンがリードしますが残り5周のタイミングでSCが出動し、辛うじてラスト1周でリスタートとなった「超スプリント決戦」ではタイヤに利があったフェルスタッペンが追い抜きに成功し、ファイナルラップで逆転王座を決めました。

レッドブルに2013年以来のタイトルをもたらしたこの「RB16B」。前年メルセデスの前にわずか2勝に終わったRB16はコロナ期間の特別規制によりマイナーチェンジしか認められなかったものの、改良されグリッド最速の1台となりました。また2019年より提携を始め、この年限りで撤退を決めたホンダのPUはレッドブルの長年の懸念だったエンジンパワーと信頼性問題を解決し、競争力のあるマシンに仕上がります。

F1に君臨する絶対王者を倒し、新世代の新たなチャンピオンとなったフェルスタッペン。2015年に史上最年少デビューを果たし、翌16年には最年少優勝を果たした逸材が期待された王座に到達しました。ハミルトン・メルセデスという最強コンビネーションとの戦いに勝っただけでなく、自身のために36年振りに復活した母国オランダGPを制すなど、プレッシャーに負けない強さを示す戴冠となりました。
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