彼のはじまり
【ミニチャンプス ザウバーC31 S.ペレス マレーシアGP 2012】
まさかの伏兵ペレスが雨に翻弄されるマレーシアGPで大躍進。マシンに苦戦するアロンソと緊迫した首位攻防を演じ、最後はミスに終わったものの2位、初表彰台を獲得しました。
ドライと雨が入り混じる難しいコンディションだったこのGP。こうしたコンディションを得意とするバトンは他者と接触してウイングを壊して後退し、タイヤ交換のタイミングを当てたアロンソとペレスが上位に浮上しました。2度目のタイヤ交換ではザウバーお得意の判断ミスで、首位アロンソとの間に大きな差が開きます。しかしここからペレスがファステスト連発の怒涛の追い上げで、最後はアロンソも抜いて優勝してしまうのではないかという勢いがありましたね。
優勝はまだ早いというお告げか、前を走るのがフェラーリだからなのか、結局アロンソを抜こうして自らミスを犯し、2位でレースを終えました。しかしデビュー2年目としては上出来のレース結果でしたよね。期待された可夢偉選手は確かリアサスペンションのトラブルで早々にリタイアし、私はこの活躍をただ指を咥えて見ていることしかできませんでした。何度も「これが可夢偉だったら……」と悲しい気持ちでいっぱいになりましたが、当人にも相当くやしさがあったのか、頻繁に更新されていたSNSがこの日を境に更新されなった記憶があります。
この年のザウバーの躍進の元となったコアンダエキゾースト。吹き付けに代わる新たな排気をディフューザーに誘導する方法として一躍トレンドとなりました。吹き付けブローを開発する資金がないからと生み出されたこのコアンダ方式ですが、こうしてアイデアで資金の差を埋めるチームは見ていて応援したくなりますね。
タイヤ戦略を当てたカナダGPでは3位、13位から追い上げたイタリアGPではアロンソを抜いて2位と、3度の表彰台を獲得して絶好調のシーズンだったペレス。しかしフェラーリのお膝元モンツァでタイトル争いをするアロンソを抜いたことは火種を産み、フェラーリ育成プログラムとの関係に遺恨を残しました。決別するのようにプログラムから離脱してマクラーレンに移籍しますが、チームの不振もあってわずか1年限りで放出されてしまいます。しかし彼はこの挫折を立派に成長の糧にして、フォースインディアに移籍してからは中堅チームを支えるエースとして要所で結果を出せる立派なドライバーへと成長しましたね。
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