DRSってなに?
【スパーク ザウバーC30 小林可夢偉 テストカー 2011】
「Drag Reduction System」こと、DRSが導入されたのはこの2011年シーズンから。今では当たり前になったF1のキーデバイスですが、最初はどんな動きをするんだろう?と疑問に溢れていましたね。
2010年のシーズン終わりに急遽採用が決まったDRSですが、当時はあまりに急進的なデバイスだったのでどんな動きをするのか想像が難しかったです。その2010年も可変フロントウイングが認められていたものの、わずか数度の角度変更のみで映像ではわからない地味なものでしたからあまり参考になりませんでした。というかこの2010年の可変ウイング、F1 2010のゲームをやっていた人しか覚えていない説……。
そんなわけで注目を集めたDRSですが、お披露目は合同テスト前のザウバーのシェイクダウン映像が一番最初だった記憶があります。もっとゆっくり0.5秒くらいで”ウイーン”と開くのかと思っていたら瞬時に”パッ”と開く仕掛けでびっくりしました。1969年に明確に禁止されて以降、約40年間も可変空力デバイスの禁止はF1の常識だったのにいざ採用となったら大味な導入で驚きましたよね。実際初年度のトルコGPなんかは有効ゾーンが広すぎて先行車はディフェンスがほぼ不可能な、文字通りガバガバなレースもいくつかありましたが……。
とても思い出深いのはこのマシンのシェイクダウン映像で、私は当時使っていたガラケーでエンターキーをポチポチ連打しながらYoutubeで見た記憶をはっきり覚えています。この表現は同年代の人にしか伝わらないと思うのですが、最後の方のガラケーは更新連打でなんとかYoutubeを見れたんですよ。また個人的には初めて一人で上京する電車の中で見た2011年シーズンに関する映像だったので、今でもオフテストでDRSが動くとふと当時の門出を思い出す印象的なデバイスでもあります。
こちらはオフシーズンのテスト仕様でオンボードカメラの上に計器装置がついています。香港の会社の別注品らしいですが、こういうものがリリースされるほど当時の可夢偉選手への注目は非常に高かったですねぇ。計器装置付きモデルは当時は珍しかったんですが、ここ10年くらいで何台かリリースされたので今ではそれほど珍しくもなくなりました。最近のミニチャンプスはフロービズを塗ったマシンまでモデル化するそうで、この方面はどんどんニッチな仕様もモデル化するのでしょうか……。
オフシーズンから期待が高かった2011年の小林可夢偉。そんな期待を裏切ることなく、開幕から7戦連続入賞圏内でのフィニッシュと中団勢の中では頭の抜けた活躍を見せてくれます。残念ながらザウバーの後半戦はオフスロットルブロー開発競争に参加できず低迷してしまいますが、エースとしてチームを牽引していていよいよもう一つ上の結果を予感させてくれた時期だったと思います。
DRSが導入されて10年以上経ちますが、オープンになっている状態でモデル化されたのはこのC30鈴鹿レジェンド仕様の一台のみです。DRSによるオーバーテイクは数えきれないほど行われもはや未使用時の追い抜きの方が珍しくなっていますが、「DRSを使っている様子がモデル化される」ほど印象的なバトルシーンが生まれていないんですよねぇ……。
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