ロータス 99T A.セナ

オリジナルモデルロータス1987

マクラーレンへ移籍

【アルタヤ ロータス99T A.セナ 1987】

念願のホンダエンジンを獲得したものの、アクティブサスペンションによるマシンバランスに苦しみ前年と変わらずランキング3位に終わったセナ。シーズン途中では後に伝説となるマクラーレンへの移籍を発表します。

タイトルスポンサー交代に伴う資金繰りの悪化からチーム離脱を画策し、チームの説得で辛うじて87年のロータスとの契約がまとまったというこの年。82年に登場して一時お蔵入りになっていたアクティブサスペンションが復活しましたが、これがマシンバランスを悪化させたと言われます。後の92年にウイリアムズがシーズンを支配したそれとは別レベルで、そのアクティブサスを追ってウイリアムズ移籍したものの94年には禁止に……という後の顛末を思えば、何ともセナに縁のないデバイスであったことでしょう。

苦戦しつつも得意の市街地レースで果敢にタイヤ無交換作戦を決め2勝を挙げますが、前年獲得率5割を記録したポールポジションはわずか1度のみという苦戦のシーズンとなりました。辛うじてドライバーズ・コンストラクターズ共に3位を維持しますがこれではタイトル獲得などできないと、シーズン中にマクラーレンへの移籍を発表してしまいます。この年のセナの勝利・PPはいずれもロータスチームとして最後の記録になるので、この移籍はまさに渡りに船だったことでしょう。

キャメルカラーに鞍替えしたロータス99T。ホンダエンジンや中嶋悟さんのデビューなど当時を知る日本人には思い出深い一台なのかもしれませんが、全面イエローのカラーリングはあまりかっこよくないですね……。92-93年のウイリアムズのような指し色だと栄えるんですけどねぇ。ロータスといえばスポンサー解禁前のブリティッシュグリーン、解禁直後のゴールドリーフ、そしてJPSの3カラーこそがアイコンという感じで、キャメル以降はチームの歴史的にもちょっと別物感がありますね。

2010年に公開されたセナのドキュメンタリー映画「アイルトン・セナ 〜音速の彼方へ」ではこの年1987年の映像がまるまるカットされています。唯一あるのはマクラーレンの契約発表パーティーのシーンのみ。ロータス時代の取り扱いそのものが少ないとはいえ、このイエローのマシンが全く映らないのはかっこよくないからか本当に特筆すべきもののないシーズンだからか、どちらなんでしょう……。

日本人フルタイムドライバー参戦・鈴鹿開催・ホンダエンジンがタイトル・ホンダ1-2-3-4フィニッシュ、そしてフジテレビによる中継開始と日本F1文化の夜明けのような一年だったと思うのですが、彼のキャリアという観点でみれば足踏みの一年だよなぁという気がします。

チームメイトを務めた中嶋悟さんのマシン。将来のチャンピオンと組んだ日本人は3人もいますが、この年のセナのように戴冠前夜のドライバーと組んだ日本人は彼だけなので、中嶋悟さんの語るセナに関するインタビュー記事は面白いですね。

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