ザウバー C31 小林可夢偉 オーストラリアGP

ザウバー2012

躍進の第一歩

【スパーク ザウバーC31 小林可夢偉 オーストラリアGP 2012】

ザウバーはオフシーズンテストから好タイムを連発し、過去3年で最も期待が高まった2012シーズン。その期待を裏切らず、小林可夢偉は開幕戦から結果を残します。

金食い虫のオフスロットルブローの開発を諦め代わりに生み出したコアンダエキゾーストが当たり、プレシーズンテストから良いタイムを刻んで開幕を迎えたこの年のザウバー。2012年は上位チームの差が小さく「ザウバーでも上を狙えるチャンスが十分にあるのではないか」という期待感と共に開幕を迎えました。

そんな開幕戦で可夢偉選手は予選Q1でトップタイムを記録。残念ながらQ2落ちとなり13番手スタートになりますが、スタート直後に追突された手負いのマシンで追い上げを見せ6位入賞を果たします。トラブルを抱えての上位入賞、さらに復帰したチャンピオン経験者ライコネンとのバトルを制しての入賞とあって開幕戦としては満点近い結果だったと思います。

前年のトレンドだったオフスロットルブローと吹き付けディフューザーの開発に資金面から参加できなかったザウバーですが、独自にコアンダ効果を用いたコアンダエキゾーストを開発。その吹き付けディフューザーが禁止され前年それに依存していたチームは一斉に競争力を落とすのですが、アイデアで差を埋めたザウバーには躍進のきっかけとなりました。近年中堅チームがアイデアで躍進するのは2020年のレーシングポイントくらいだと思うので(半分コピーでしたが……)、可夢偉選手は本当に良いマシンを引き当てましたよね。

ちなみに、このミニカーは2012年に鈴鹿に現地観戦に行ったときに購入した思い出の一台です。製造の早いスパークのおかげで秋の日本GPでその年のマシンを購入することができました。数が出回っているようで市場価格は高くない一台ですが、あの観戦の記憶と共に私の中ではとても価値ある一台です。

開幕戦で「今年のザウバーは戦える!」と誰もが確信して応援にも熱が入った2012年。最多6人のチャンピオン、7戦連続異なるウィナー、そしてスパイスの効いた中団の2人のクラッシャーと、この年は話題に事欠きません。期待しては裏切られを繰り返し、最後になんとかこれだけは、という願いが叶ったシーズンでした。そんな2012年シーズン、最初の試練は次のマレーシアGPで訪れます……。

C31で最初に成果を挙げたのはチームメイトのペレスでした。せめて可夢偉も完走していれば結果の差だけに向き合うことができたのに、この躍進劇を指を咥えて見ることしかできなかった悔しさは昨日の出来事のように覚えています。

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