21世紀のNo.27

【ミニチャンプス フォースインディアVJM07 N.ヒュルケンベルグ 2014】
固定カーナンバーの復活で21世紀に初めて登場した「No.27」。その持ち主になったヒュルケンベルグですが彼のキャリアを大きく変えるには至らず、相変わらずあと一歩が届きませんでした。

ザウバーからフォースインディアへと出戻りペレスとタッグを組んだ2014年。実力者同士の組み合わせに強力なメルセデスPU搭載とあって、他の中堅チームの脅威となる活躍を見せました。
しかし第3戦バーレーンGPではペレスがチームメイトバトルを制してポディウムを獲得し、ヒュルケンベルグはまたしても早速に表彰台のチャンスを逃す羽目になっています。

シーズンが進むにつれレッドブルやウイリアムズが調子を上げたことで、ヒュルケンベルグは上位入賞が続くもポディウムは遠のくばかりでした。「安定して好成績を収めているから」と言い訳が付くものの、たまに崩れるそのレースでペレスが表彰台を取ってしまう3シーズンが始まります。
実力はあるのにシートが安定しない苦労人から、実力はあるのに表彰台に縁がないドライバーへとジョブチェンジを果たした年と言えるでしょう。彼の真の未表彰台記録はここから始まったと言ってもいいですね。

フォースインディアはこの年からカラーリングを一新し黒ベースに変更しました。辛うじてペレスの持ち込みスポンサーのためにホワイトが残っていますが、前年までのインドらしさがなくなってしまいましたね。
当時チームは国内からの支援が望み薄で国際的にスポンサーを集めている最中だったので、年々インドらしいカラーリングが失われるのは納得だったのですがちょっと、いや結構寂しかったです。

かつてヴィルヌーブ、プロスト、アレジが継承してきた悲劇のエースナンバー「27」は、ヒュルケンベルグのそのキャリアによって一時21世紀では腕の立つ運転代行みたいな悲しい扱いになってしまいました。
数多の噂の一つでも実現してトップチームへ移籍出来ても表彰台には乗れないだろうと思っていたのですが、粘り強く中堅チームでキャリアを積み2025年ついに3位を獲得したヒュルケンベルグ。歴史あるナンバーなので、「苦労するけど報われる」みたいなイメージがついてほしいですね。
「そもそも表彰台の実力はあるのかよ?」と聞かれると「惜しいレースはあったんだよ!」と答えたくなりますが、実際に彼が最も表彰台に近づいた瞬間を聞かれると難しいですね。
個人的にはこの2012年のブラジルGPかなと思いますが、登壇したメンバーを見るとクラッシュが無くても抜かれていた気もするしなぁ。
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