ウイリアムズ FW44 N.デフリース イタリアGP

ウイリアムズ2022

そもそもの間違い

【ミニチャンプス ウイリアムズFW44 N.デフリース イタリアGP 2022】

チームのエースドライバー、アルボンが虫垂炎により欠場となったことでチャンスを得たデフリース。デビュー戦で華々しく入賞を果たし、その後のF1キャリアは明るいものになるかと思われたのですが……。

2020年からメルセデスのリザーブドライバーとして度々ガレージに帯同していたデフリース。F2王者にしてフォーミュラEチャンピオンという華々しい経歴は最強チームの控えとしては申し分ないもので、代表のトトが彼のF1シートを探していることは公然の秘密となっていました。そしてついに2022年、イタリアGPで代役としてF1デビューのチャンスを掴みます。

F1では新人ながら既に他カテゴリで実績のある中堅ドライバーという期待値の高いデビューでしたが、予選13位から決勝レースを9位で完走し、デビュー戦で初入賞を達成しました。9位はこの年のウイリアムズの最高位なので、素晴らしい成績ですよね。直線番長のウイリアムズのシートをモンツァで得て、そして結果を残すなんて、オランダ人はフェルスタッペンに続いてこんな運も実力もあるドライバーが控えていたのか……と当時は恐れおののきました。この結果を引っ提げ空いたアルファタウリのシートを獲得し2023年のF1フル参戦を果たすのですが、結果的にはこの選択が早とちりだったのかなぁ……。

開幕戦から様変わりしたこの年のウイリアムズのマシン。新空力規定初年度でサイドポッドのデザインが三者三様分かれた開幕戦からレッドブル型・フェラーリ型に集約されていった2022年ですが、この開発競争にウイリアムズがしっかり食らいついていけたのは嬉しい驚きでしたね。3年前にはオフシーズンテストに新車が間に合わない失態を見せその後チームを売却するまでに至りましたが、現在は新しいオーナーの元で正しい方向に進んでいるようです。

その後2023年のデフリースの低迷は語るまでもなく、奮闘する角田くんに対しチームリードを求められたデフリースは度重なるミスで結果を残せず、わずか10戦でシートを失いF1を去ることになってしまいました。かつてセバスチャン・ブルデーというアメリカのチャンプカー(現インディカー)で4年連続チャンピオンを獲得したレジェンドがなぜかトロロッソという若手育成チームからF1デビューしたことがありますが、結果が出ず屈辱的なシート喪失を期したことがあります。この際どこかのメディアが「そもそもチャンピオンが育成チームからデビューすること自体が間違い」と評したコメントを覚えていて、今回のケースも全くその通りだなと思い出しました。

経歴から実力は十分あると思うのですが、アルファタウリという下位チームが彼の好みに合わせてセッティングを調整してあげられる能力があったのかというと疑問ですよね。チームが作ったものにドライバーが合わせろ、というのは新人には良いと思うのですが、経験あるベテランには実力を発揮できないもどかしい環境だったのかもしれません。F1デビューのタイミングって本当に難しい……。

代役デビューからのシンデレラストーリーといえばやっぱり2007年のベッテルですよね。奇しくも上記のブルデーを蹴落としたのも彼なのですが……。

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