マクラーレン MP4-30 F.アロンソ 日本GP

オリジナルモデルマクラーレン2015

パワーユニットの思い出

【エブロ マクラーレンMP4-30 F.アロンソ 日本GP 2015】

アロンソが2015年の日本GPでホンダPUを「GP2エンジン!」と批判してから10年が経ちました。そんなPU時代も今年で終了、このルールっていったい何だったんでしょうか……。

メーカーの呼び水として2014年から導入されたPUことパワーユニット。巨額コストであまりに複雑なエンジンは本来の目的を果たせず、F1に残ったメーカーを苦しめるだけに終わりました。

大勝したメルセデスと復活を遂げたホンダはともかく、撤退に繋がったルノーや10年続いた規定でタイトルの無かったフェラーリにはあまりに痛い結果となりましたね。跳馬の歴史に悪名を残すエンジンとなってしまいました……。

そんな複雑なエンジンを導入2年目で開発制限させたトークン制度に加え、当時の技術レベルと合っていなかったPU使用数制限はあまりにもひどい欠陥ルールだったと思います。皆さん、これ覚えていますか……?

2015年に1年遅れで参戦したホンダはこれに苦労し、まともに開発を進められないままグリッド降格ペナルティを連発する羽目になります。この年ベルギーGPでは二人合わせて105グリッド降格ペナルティという歴史的記録を樹立。新規で来てくれたメーカーにこの仕打ちはね……。

一説にはPUルールはリーマンショック直後のF1参入し大手を振るっていたメルセデスのロビー活動により定まったところが大きいともされますが、それを良しとして受け入れたフェラーリとルノーはどんな目算をしていたんでしょうね。

エンジン開発を終了し静かにF1を去るルノーと、2019年に「疑惑」の出力アップをしても無冠に終わったフェラーリ。10年前の見込み違いはあまりに大きな傷を残しました。

ホンダPU初年度にマクラーレンの要望で採用された「サイズ・ゼロ」コンセプト。後のレッドブルが真逆にインダクションポッドを拡大していた様を見ると大きな間違いでしたね。

ただ当時はこのPUという未知のエンジンに加えてマクラーレン、ホンダ、運用ルールとそれぞれの問題が複雑に絡み合っていただけに、今となっては誰を責めるのも間違いな気がします。ホンダに救済の道を用意したFIAの仲裁は本当に英断でした。

余談ですが、マクラーレンの不振はエブロの販売戦略にも影響したのではないでしょうか。安くない版権料だったであろうに深刻な低迷、加えてこの年はこちらも悪夢の日産「GT-R LM NISMO」の権利も有してW製造でした。力を入れていたのにね……。

どちらかでも売れればまだしも2台揃ってレースにすらならないんだから模型屋さんとしては致命傷だったことでしょう。この傷は後のエブロ倒産の遠因になったのではないかと邪推しています。

過去の歴史を見れば車体・エンジンのルールが大変革すると誰かが抜け出し、誰かが低迷するのですが、その格差がどれだけ続くかはルールの匙加減次第のように思います。

せっかく2026年からはたくさんのワークスメーカーが参入するので、競争とレベル差のバランスをうまくとって共存共栄をしてほしいですよね。しかし、2014年の惨状からこのF1バブルは奇跡としか思えないなぁ……。

いろいろあったPU時代。個人的に1台を選ぶなら14年のビアンキです。非力なPUで入賞、スターダムに駆け上がるかと思われましたが事故で亡くなりました。

選んでいて思いましたが、この期間で最も劇的に変わったのは安全対策かもしれませんね。

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