フェラーリ 126CK G.ヴィルヌーブ モナコGP

フェラーリ1981

伝説の2勝

【ブルム フェラーリ126CK G.ヴィルヌーブ モナコGP 1981】

フェラーリが初めてターボエンジンを採用し、前年の不振から脱却し始めた1981年。速さはありながらも扱いにくいマシンをジルが駆り、神秘的な2勝を挙げます。

ターボエンジンの採用でパワー強化されたこの年のフェラーリ。2位フロントローからスタートしたモナコGPではレース終盤首位ジョーンズと30秒近く差があったものの、驚異的なペースで追い上げ残り4周でオーバーテイク。デビュー5年目にしてモナコGPを初制覇しました。今よりもずっと観客の距離が近かったこの当時、彼の追い上げにつれ徐々に観客がヒートアップしていく様は彼の走りの魅力を映しているようで、このレース映像は必見です。

続くスペインGPでは地力の勝るマシン4台を65周に渡って抑え込み、ヴィルヌーブ・トレインと評される行列を守り抜いて2連勝。1位から5位まで1.24秒差という非常に僅差の大混戦を制しました。結果的にこれが彼の最後の勝利となりますが、上述の2レースは彼のベスト1-2を争うものです。故に、人々は彼のキャリアが続いていたら、と思わずにはいられないのかもしれませんね。

フェラーリ初のターボエンジンは典型的なターボラグを抱えたもので、パワーを与えたものの操縦性に難ありでした。更にシャシーはより深刻な問題を抱えており、先代の312Tシリーズから目立った技術進歩はなく剛性不足でターボエンジンのスピードについていけません。あまりにいびつな操作性に、ジルをして”赤くて速いキャデラック”、僚友のピローニは”赤いカミオン(トラック)”と評すなど、とても成績に見合った素性のマシンではありませんでした。

そんなマシンを駆って2勝を挙げたジル。この年チームに加わったピローニが表彰台すらなかったことを考えると、いかにジルのドライビングに依存した成績だったかがわかります。ターボラグに加えハンドリングの悪いマシンでモンテカルロをドリフト走行しながら優勝を掴み取ったモナコGP、後続4台からのプレッシャーを受け続けながらも暴れるマシンをミスなく制して果たしたスペインGPは、まさに彼の伝説的な2勝です。

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