もう一人の男
【ミニチャンプス トロロッソSTR10 C.サインツ 2015】
大物ルーキーとしてチームの全面バックアップを受けるはずだった2015年。後からより若いフェルスタッペンが加入し話題を攫われてしまいましたが、負けず劣らずの活躍でチームを二分させます。
前半戦は目立たないながらも入賞を重ね、フェルスタッペンをリードしていたサインツ。トロロッソで堅実に入賞を繰り返す姿はルーキーとは思えぬ安定感で感心しましたが、後半はフェルスタッペンが入賞回数を増やす一方で彼にはマシントラブルが頻発し点差をつけられてしまいます。
しかしフェルスタッペンに実力で敗れたわけではなく、予選では勝ち越しています。何より高いレベルで実力が拮抗したことで、育成チームながらチームの雰囲気が険悪になってしまうほどでした。代表のトストが苦労するほどの事態はレッドブルの人事にも影響を与え、フェルスタッペンの電撃昇格に影響したともいわれます。
ジェームス・キーが制作したSTR10は血気盛んなルーキー2人を戦わせるのには十分な戦力で、安定した入賞や状況次第では上位入賞も目指せる素性の良いマシンでした。後にトップチームに移籍する二人がチーム史上ベストマシンの1台を駆ってデビューしたとは、奇跡のようなシーズンですね。
フェルスタッペンが早々に昇格を果たして活躍する一方、サインツも遅ればせながらルノーへのレンタルを経てマクラーレン・そしてフェラーリというトップチームのシートへたどり着きました。初年度から実力が拮抗していた2人だけに、トップフィールドでどのような戦いを見せてくれるか期待大ですね。次世代の若いトップドライバーを発掘・育成するという命題を持つトロロッソにとって、この年の2人はチーム史上最も成功した年と言えるでしょう。
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