偉大なカムバック

【ミニチャンプス ルノーR.S.17 R.クビサ ハンガリーテスト 2017】
2011年冬のラリー参戦中の大事故によって、選手生命はおろか自身の生命すら危機的状況に陥ったクビサ。6年もの長い闘病生活を経て、F1マシンに戻ってきました。

復帰するまでの間、彼には厳しいリハビリが待っていたことはもちろん、若手のエースとして期待された自分が存在しないものとして進んでいくことへのメンタルとの戦いもあったことでしょう。その長いリハビリを経て、2017年8月の真夏に行われたインシーズンテストでは古巣のルノーから参加し、長い中断を経てついにそのF1キャリアを再開させました。

このテストの結果次第では、思い出作りのセッションとしてモータースポーツから離れる覚悟もあったと語るクビサ。しかし結果は好タイムを記録し、この結果によってウイリアムズのテストドライバー、そして2019年にはレギュラードライバーへと更にキャリアを続けていくことに成功しました。2008年には初優勝を挙げてタイトル争いをした男ですから、やはり天性の速さは失われないということなんでしょうね。

テスト仕様は後半戦以降の、シャークフィンにドライバー名が大きく記載されたモデルです。サーキットに7年ぶりに戻ってきた「KUB」の名前は、デビューからキャリアを見てきた私にとっては非常に、非情に感動的なものでした。希望のBMW時代とルノーの孤軍奮闘時代の感動が蘇りましたよ……。

2019年にフル参戦復帰したウイリアムズが深刻な不振に陥っていたことで、残念ながらレギュラードライバーとしては目立った活躍はできませんでしたが雨で荒れたドイツGPでは7年ぶりに1ポイントを獲得しました。
同国の英雄が復活したポーランドはF1へのスポンサーにも力を入れ始め、彼をアイコンに石油会社オーレンがアルファロメオのタイトルスポンサーに就任。クビサもテストドライバーとして新車のシェイクダウンを任されるなど、このテストの成功をきっかけに今なおクビサはモータスポーツの舞台で活躍し続けています。
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