私が一番好きなF1マシン

【ミニチャンプス BMWザウバーF1.08 R.クビサ 2008】
BMWザウバーが大躍進を遂げた2008年。名車「F1.08」を相棒にクビサは表彰台を連発し、タイトル争いにも顔を出しました。この年クビサに注力していれば、未来が変わった可能性があったのです。

開幕戦をリタイアしたものの第2-3戦で連続表彰台を獲得し「F1.08」の速さを見せつけたクビサ。その第3戦バーレーンGPでは自身唯一のポールポジションも獲得しました。雨のモナコGPでも2位を獲得し迎えた第7戦カナダGP、前年大クラッシュを経験した地で上位勢のミスを突き初優勝を達成。この時点でポイントリーダーとなりタイトルは十分射程圏内という前半戦でした。

しかし後半11戦は表彰台3回と大きく失速。翌2009年より本社肝いりのハイブリッドシステム「KERS」が導入されるため、タイトルは自社製KERSと共に獲得するという目論見でこの年タイトル争い真っ最中にも関わらず早々に翌年への開発にシフトしてしまいました。チーム唯一にして最大の判断ミスで、結果的にこれがチーム撤退へと繋がってしまいます。本当に、今振り返っても悔しい……。

この「F1.08」は20年間F1を観て過去の歴史も勉強してきた私が最もかっこいいと思うF1マシンです。この年は00年代空力戦争最終年で各チーム「下品」なデバイスをいくつも投入しましたが、BMWはシャークフィンなし、サイドポッドとバージボードの独特な接続、そしてトレンドの火付け役となったノーズウイングとセンスあるデザインばかり。そして再三触れていますがカラーリングが素晴らしい。

この独自のノーズウイングが非常にアイコニックでかっこいいですね。実は2006年フランスGPでこの位置に長い垂直フィンを設置したことがあるのですが禁止され、2年後洗練されて帰ってきたのがこのデバイスです。デビュー3年目にしてライバルが続々コピーするトレンドリーダーとなっていたBMWザウバー、この年開発を続けていれば、ねぇ……。

終盤開発がまともに進まないことにはっきり不満を漏らしていたクビサ。シーズンを終えて結果は3位ライコネンと同点で4位という、過去最高位にして最も悔しい順位となりました。後年を見るとこの年がBMW・クビサにとって最初で最後のチャンピオン獲得チャンスだっただけに、このまま開発を続けていたらという「たられば」は今でも私の中から消えません。
ファン歴3年目の当時の私でも「このままこの年に注力した方がいいんじゃないかな……」と思ったものですが、F1で上手いことタイトルを獲ってやろうという誘惑には抗えないのでしょうか。
対して1戦限りのミスで済んだのはメルセデス。フェラーリやマクラーレンと違い撤退がちらつくワークスはついついこうした「獲りたい形で王座を取る」魅力に取りつかれるのでしょうかね……。
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