半年でトップチームへ

【ミニチャンプス トロロッソSTR14 A.アルボン 2019】
F2で活躍しながらもF1シートを得られずフォーミュラEデビューが決まっていたアルボン。リカルドの電撃離脱による玉突き人事で急転直下トロロッソからのデビューが決まり、そのままシーズンの話題の1人となりました。

1955年プリンス・ビラ以来64年振りのタイ人ドライバーとなったアルボンですが、最初はトロロッソの数合わせドライバーという印象がありました。しかしシーズンが始まると速さを見せるだけでなく傑出したオーバーテイクの上手さを見せ、一気に中団ドライバーの中心の1人になります。

ただ入賞回数は前半戦12戦で5回、最高位は雨のドイツGPでの6位とそこまで特筆すべきものはなく、「記録よりも記憶に残るタイプ」に感じましたね。
そのドイツGPでは先輩レッドブルのガスリーからの追突を受けての入賞と、シート交代が強く印象付けられたシーンもありました。トロロッソのレッドブルへの追突は深刻なミスですが、逆はあり得ないミスですからねぇ……。

そんなガスリーの不調を受け夏休み中にシート交代が発表され、デビューからわずか半年でトップチーム昇格という異例のスピードで出世していくことになりました。
当時クビアトではなく彼が選ばれた理由は結構謎で、クビアトは一度首になっているとはいえ復帰後に表彰台を獲得して結果を出していたのですが、トロロッソへの復帰は許されてもレッドブルは一度離れると二度と戻れないシステムなのでしょうかね……。

F2で3位を獲得しながらF1のシートを獲得できなかったその1年後、レッドブルのシートを得るという近年稀に見ぬ数奇な運命を辿ったアルボン。残念ながら昇格後この年に表彰台を獲得できませんでしたが、これもブラジルGPでハミルトンからの追突がなければ実現していたことでしょう。
その後レッドブルでの最高位は3位2回に終わり、ウイリアムズに移籍することになりました。残念ながら「フェルスタッペンクラス」との評価は得られず早々にレッドブルのシートを失いましたが、急遽デビュー・半年でトップチーム昇格という激動の中で結果を残した実力は確かなものでウイリアムズを牽引する存在となっていきます。
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