レイトンハウスマーチ 881 I.カペリ

オリジナルモデルマーチ1988

ニューウェイ伝説の始まり

【デアゴ レイトンハウスマーチ881 I.カペリ 1988】

長年勤めたレッドブルを離れアストンマーティンへの移籍が話題になったニューウェイのデビュー作となるこのマシン。デアゴF1シリーズからの転用品ですが、シリーズの中では屈指の人気を誇る一台で市場価格もかなり高いですね。

このマーチ881はニューウェイがF1で初めてデザイナーを務めたマシンであり、ターボエンジン全盛期だった1988年にNAエンジン搭載車として唯一のラップリードを記録した、今更語るまでもなく有名なマシンです。ただ「えぇ!デビュー初年度からいきなり空力デザインで馬力差を克服したなんて!」という驚きよりも、私はF1転向前にアメリカのオープンホイール界で既に成功を収め新卒7年目にして40万ドルもの巨額のオファーを受けていたという方が驚きです。いやいや、超大物新人デザイナーすぎるでしょ……。

ニューウェイはこのマーチでの活躍を引っ提げウイリアムズに移籍しWタイトルを獲得。その後マクラーレンに籍を移しますが、ハッキネンとのタイトル以降はフェラーリ黄金期の前に勝利を掴み取ることができませんでした。過剰な空力開発で信頼性が……なんて話はこの間を共にしたライコネンの「ガラスのマクラーレン」エピソードで事欠きませんね。その後は三顧の礼でレッドブルに迎え入れられると、円熟されたデザインでベッテル・フェルスタッペンの時代を築きます。この間唯一対抗できたのが導入直後のメルセデスPUの絶大なエンジンパワーしかないのですから、そりゃぁすごいって話ですよね。

近年のレッドブル内紛の噂がどこまで真実かわかりませんが、オーナーの死去と共にパワーバランスが崩れたのは事実のようでレッドブル最大の武器だった最重要人物がまさかのチーム離脱というニュースは世間に衝撃を与えました。その後フェラーリとアストンマーティンによる争奪戦となったようですが、オーナーの野心が止まらないアストン陣営が獲得に成功。父ストロールは息子のためのF1シート獲得に始まり、ワークスチーム設立から新ファクトリー建設、更にはトップデザイナーを招聘とランスを「ペイドライバー」と呼ぶことすらためらわれる投資を見せてくれます。いやー、すごいね本当。

さて、ここまでいろいろとニューウェイに関するニュースに触れてきましたが、個人的になによりも、なによりも楽しみなのはアロンソがついに彼のマシンに乗る日が来たということです。2012年ブラジルGPの敗戦で呆然としたあのレースから12年、ついに巡り巡ってそのシートを手にする日が来ました。いやー、本当にここまで長かった……。この12年間彼が変わらない闘志で走り続けたことがニューウェイの「アロンソと仕事をしたい」と思わせるきっかけになったはずですし、本当に報われてよかったです。2026年アロンソファンの目標はただ一つ、優勝でしょう。勝って引退、見せてほしい。

2023年のアストンマーティン入りは初年度の大活躍でこんな記事を書くほど興奮しましたが、まさかその延長に念願のニューウェイとのタッグが待っているなんて思いもしませんでした。2026年復活優勝、2027年にタイトル争いが現実的なタイムラインかなぁ……。

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