辛うじて1勝

【ルックスマート フェラーリSF90 S.ベッテル シンガポールGP 2019】
2019年ベッテルの唯一の優勝マシンにして、キャリア最後の優勝となってしまったシンガポールGP仕様。この時すでに苦戦気味でしたが、まさかここから転がり落ちるとは……。

翌年からのコロナ禍の混乱で隠れましたが、2019年のフェラーリの戦いぶりはもうひどいものでしたよね。オフテストではトップタイムを連発するも開幕戦で大失速し、ドライバーから無線で「なぜ遅いんだ」と問われてしまう有様です。
後半戦の高速サーキットでは突然謎にパワーアップしたPUパワーを武器にポールを連発するようになりますが、その頃には既にタイトル争いの大勢は決していたのでした。

この年フェラーリは珍しくシーズン後半アップデートを成功させ、「シンガポールアップデート」と呼ばれた空力パッケージはPUパワーの最高速の向上だけでなく中低速の速さも改善されました。
これによって1年間苦戦を強いられたベッテルは待望の初優勝を挙げることができ、この点は2019年のフェラーリで辛うじて評価できる点だったなと思います。

この年からレッドブル同様フェラーリもマッドカラーを採用しました。テストの好結果はこの効果かとも思いましたが実際はそんなに影響がないのでしょう。この「SF90」は成功した開発もあったのでしょうが、とにかくエンジンで何をやったのかしか注目を集めませんね。
PU不正騒動はすっかりコロナ禍の混乱に隠れましたが、それに隠れたチームの数々のオペレーションエラーこそ深刻な問題だったと思うんですけどね……。

ルクレールの作戦ミスのおこぼれで1勝を挙げ未勝利は避けられたものの、どうしても彼に負けた印象が残ってしまうこの年のベッテル。まるで2018年までのライコネンみたいな立ち位置でした。
速さはあるドライバーであることは間違いないものの、当時求められていたのは最強メルセデス・ハミルトンに勝てるドライバーでしたから、既にベッテルは役不足となっていた感が否めません。今思えば、リザルト通りに彼の王座への挑戦権は2018年が最後だったのでしょうねぇ……。
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