キャリアを揺るがす未勝利

【ミニチャンプス メルセデスW09 V.ボッタス 2018】
メルセデス加入2年目、フェラーリに苦戦するハミルトンを凌駕しつつあった開幕数戦のボッタス。優勝への最大のチャンスとなったアゼルバイジャンGPで、全てが一変します。

開幕戦こそ8位に沈んだものの続くバーレーンGP、中国GPを連続2位で終えて迎えたアゼルバイジャンGP。レッドブル2台の首位争いの傍ら自身の作戦を淡々とこなし、ピットインを遅らせたことが功をなしてレッドブルの同士討ちにより首位に立ちます。

レース残り3周でセーフティーカーが明けレースが再開し、誰もが彼の優勝を予想したその刹那、後方のバトルで発生したデブリを踏んだ彼のマシンはホームストレートでタイヤバーストを起こし、あっという間に最後尾に転落していくのでした。これは本当に辛い瞬間でしたねぇ……。

この「W09」はボッタスのマシンという印象が強いですね。上述のアゼルバイジャンGPに加え、シーズンでPP獲得した2レースはエンジントラブル&チームオーダーで首位はく奪と、未勝利に終わったこのシーズンはやることなすことすべてが裏目に出てしまいました。
トップチーム2年生としてしっかりハミルトンに立ち向かっていたのに、とても見ていられない不運の連続でしたね。

このリタイアで心にダメージを負った彼は以降みるみる失速し、気が付けば立派なセカンドドライバーに転落していたボッタス。初優勝の思い出の地であるロシアGPではポールを獲得しながらもチームオーダーにより2位に転落。タイトル争いの流れは完全にメルセデスに傾きつつある中での非情なオーダーは賛否を生んだものの、彼の名誉は挽回されませんでした。
以降は毎年明確なセカンドドライバーとして2019-21年のタイトル三連覇に貢献。ただ「貢献」といえば聞こえがいいものの実験的な扱いや彼の順位を気にしない作戦も多く、「ボッタスの尊厳はどこへ……」と思わずにはいられません。
この年アゼルバイジャンGPで優勝できていれば、彼はまだ立派なハミルトンへのチャレンジャーだったかもしれないですね。
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