電撃引退
【PMA メルセデスW07 N.ロズベルグ 2016】
この年最大のサプライズとなったロズベルグ突然の引退発表。デビュー11年目にして初のチャンピオン、そして史上2例目の親子チャンピオンと、ただでさえ話題が多いこのタイトルがまたドラマティックになりました。
2015年、ハミルトンに2年連続で敗れた直後のレースから2016年の前半戦まで7連勝を挙げ、幸先の良いスタートを切ったロズベルグ。ハミルトンがマシンのトラブルで勝てなかったように見えましたが、今思えばこの連勝はニコの努力の賜物だったのでしょうね。これだけ連勝を挙げても世間の大半がハミルトンの3連覇を信じている中、ロズベルグは勝利への執念を譲りません。
しかし緊張がピークに達したスペインGPでの同士討ち以降、中盤はハミルトンが4連勝を挙げて復調した一方でロズベルグはこの事故からスランプ入りしたように見えました。 流れが傾きかけた夏休み前ですが、休暇後のベルギーGPから3連勝で再び嫌な流れを変えることに成功します。
マレーシアGPでのハミルトンのリタイアでタイトルは大きくニコに近づき、日本GPの勝利で完全にその手中に収めました。本人の引退コメントにもありましたが、鈴鹿が天王山だったのでしょう。2年連続負けた同じパターンでのフロントロースタートで、この年は勝利を収めました。残り5戦どこかで勝てばハミルトンの自力優勝を消せるとはいえ、相手は平気で5連勝を挙げそうなハミルトンです。よく鈴鹿で勝利しましたよね。これがロズベルグのシーズンベストレースだと思います。
最終盤は2位死守というノルマをしっかりと果たし、最後はハミルトンのスローペース作戦にも負けずに初のチャンピオンを獲得したロズベルグ。その後は誰も予想しなかった突然の引退発表で世間を大きく驚かせました。個人的には引退表明の「こんな努力をもう1度できない」というコメントが非常に印象的です。正直ニコがハミルトンに勝てるとは思っていなかったですし、ポイントをリードしていても直接対決に弱い、一発の速さで勝てない、というネガティブな印象を持っていました。しかしだからこそ、その差を埋め、逆転するために努力したニコが発したもう2度と同じことはできないというコメントに重みを感じるんですよね。
また06年デビューのニコはデビューレースから見続けてきた最初のドライバーなので、引退となると感慨深いものがありました。バトンやマッサと違ってまだまだ何年も見ていくと思っていたので、彼のいないF1は変な感じで、1人のドライバーをデビューから引退まで見届けるとファンとして歴も長くなったなぁと感じたものです。
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