2013年チャンピオン S.ベッテル

World Champion Collectionレッドブル2013

ベッテルの完成形

【ミニチャンプス レッドブルRB9 S.ベッテル 2013】
50年代のファンジオ、00年代のシューマッハに次いで、史上最年少で4連覇を達成したベッテル。トロロッソ時代から始まったレッドブルとのサクセスストーリーの最終章です。 

全19戦で争われた2013年シーズン、ピレリのタイヤ仕様変更によって前半戦はレッドブル・フェラーリ・ロータスの三つ巴の争いとなりました。2011年の母国ニュルブルクリンクでは最速マシンを手にしながら自身のミスで表彰台すら逃したベッテルですが、その教訓を活かして最速ではない当時のRB8を操り交互に襲い掛かるロータス2台の猛攻に耐え、母国ドイツGPで念願の初優勝を挙げました。ベッテルのベストレースの1つだと思います。

再びタイヤの仕様変更が行われた後半戦は勢力図が一転、レッドブルがまたも支配的な速さを取り戻しベッテルは後半戦9連勝という偉業を成し遂げました。これは1952-3年のアスカリと並ぶ最多連勝タイ記録ですが、シーズン中の9連勝達成は当時彼が唯一でした。その後のメルセデスの連戦連勝に隠れてしまいますが、当時ベッテル一人が勝ち続けたことはいかに驚異的なことだったでしょうか。

この年からインフィニティがタイトルスポンサーとなり、パープルが増したレッドブルのカラーリング。この「RB9」は前年のタイトル争いが長引いたため開発に遅れが生じていたといわれ、設計者のニューエイも妥協を強いられたとコメントしていますが、結果は19戦13勝と圧倒的な速さを保ち続けました。

4連覇・9連勝と歴史的な大記録を再び達成したベッテル。2013年は07年のトロロッソデビューから始まったレッドブルとのキャリアの集大成といえます。最後の9連勝はポールからの逃げ切りを得意とする彼の真骨頂が発揮されたレースばかりでした。しかしそんな蜜月の日々にも終わりが訪れ、翌2014年の不振を経て、レッドブルと袂を分かち慕う母国の英雄を追ってフェラーリへと移籍します。

最速マシンを手にして先行逃げ切り型で勝利を重ねたベッテルはバトルやプレッシャーに弱いという評判もありましたが、この年の母国ドイツGPでの走りを見るとそんな批判は払しょくされ、強さと速さを兼ね備えたベッテルの完成形が最後にタイトルを獲得した2013年シーズンだったなと思います。

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