「ナンバー2にしては」なんて言うから

【ミニチャンプス レッドブルRB6 M.ウェバー 2010】
苦労人ウェバーが前年ようやく初優勝を挙げ、初のタイトル争いに挑戦した2010年。結果的に最初で最後のチャレンジとなりましたが、ライバルチームよりもベッテルやチームとの関係に苦労しました。

開幕序盤こそチーム内紛の火種を感じなかったものの、トルコGPの同士討ちで一気に大爆発したレッドブル。このレースはその後のマクラーレン同士の大人なチームメイトバトルもあって、レッドブル両ドライバーの関係の悪さが強調された一戦となりました。
チームは直後のカナダGPで仲直り画像をSNSにアップして関係修復をアピールしましたが、結局二人は2013年の「マルチ21」事件に至るまで仲は悪いままだったのでしょうね。

レッドブルとしては生え抜きのベッテルを優先させたいのは当然で、ウェバーも不利を察してかイギリスGPでは自身が使わない予定のウイングがベッテルに渡ったことを「盗られた」と表現。そのレースで優勝後、名ラジオとなる「ナンバー2にしては悪くないだろ?」と発言するなどチーム内で政治的な駆け引きを始めていきます。
当時はベッテルがミスやトラブルで沈む中チームを代表してフェラーリ・マクラーレンと戦い着実にポイントを積み上げていただけに、今思えば不要なアクションだった気もしますね……。

この年はリタイアした2戦を除く17戦で入賞し入賞率はトップだったのですが、そのリタイアが致命的でした。ヨーロッパGPでは後方に沈み挽回しようと焦ったのか周回遅れに追突し、一回転して空を飛ぶ大クラッシュを経験。
更に致命的なのは韓国GPで、上位走行中にスピンからクラッシュ、リタイアしました。右京さんが実況でドライバーの気持ちが走りで伝わるとよく言いますが、あのクラッシュ後ブレーキを踏まずゆるゆると後退し、後続を巻き込む姿は彼の放心状態を完璧に表していたと思います。

その韓国GPでは雨の中レース開催に難色を示していて、ポイントリーダーだった彼は考えを保守的に切り替えていた感が否めませんね。結局最終戦もランキング首位で迎えながらタイヤの劣化に耐えられずいち早くピットして大きく後退、タイトルを逃してしまいました。
そして王座まであと一歩だったこの敗戦のショックは大きいのか、以降再起してチャンピオン争いに再び絡むことはありませんでした。後のキャリアは完全に彼の言葉通り「No.2にしては悪くないドライバー」になってしまいましたね。
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