F1初代チャンピオン

【ブルム アルファロメオ158 G.ファリーナ 1950】
20世紀に始まった自動車レースは1930年代にかけて発展、国際規格のレースが実施されるようになったものの戦争により中断。戦後の1950年からF1という統一規格の国際レースとして開催され、今日まで長い歴史を紡いでいます。そのF1初代チャンピオンに輝いたファリーナのマシンです。

F1世界選手権として初の開催となった1950年は、イギリスのシルバーストーンサーキットで開幕しました。英国のモータースポーツ文化は戦後大量に余った独軍空爆用滑走路の自動車利用への転用によって花開いたという有名な話がありますが、このシルバーストーンも同様に空港の滑走路を使用したサーキットです。ちなみに、よくF1では「初年度から唯一参戦しているチームはフェラーリのみ」と言われますが、この開幕戦には出走していませんでした。

全7戦で行われた最初のシーズンは4戦の有効ポイント制が採用され、ファステストラップもポイント対象でした。さらにレース中マシンをドライバーがシェアし、獲得したポイントを分割することも認められています。シーズンはファリーナとファンジオの戦いとなり、この二人と選手権3位につけたファジオーリの”3F”を要したアルファロメオは欠場したインディ500を除いて全勝を挙げて選手権を支配します。

このマシン「158」は1938年に製造され戦前のレースで活躍し、第二次大戦中は空爆から逃れるため疎開し隠されていたという逸話まであるマシンです。F1選手権用に開発されたマシンではないにも関わらず圧勝し、13年間にわたって第一線で活躍した黎明期の偉大な名車となります。

F1初代王者として歴史に名を刻んだファリーナ、この時はなんと44歳でした。またチャンピオンだけでなく記念すべきF1最初のレースでのポールトゥウィン記録も持っています。イタリア人としてアルファロメオのエースを務めましたが翌年にはファンジオに敗れ、以降はフェラーリドライバーとしてキャリアを続け1955年に引退します。
またレーサーとしてだけでなく、法学の博士という一面も持つファリーナ。まだF1への参戦が現代のように人生全てを捧げてのチャレンジという道だけでなく、様々なバックグラウンドを持つ人が参戦できた牧歌的な雰囲気を感じることのできる年代です。
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