史上最高のカラーリング

【スパーク HRT F111 V.リウッツィ 2011】
今は無きHRTチームが資金集めに考えたカラーリングがこの名車「F111」です。全身に広告募集中と掲げチェッカーフラッグをあしらったこのデザインは、有名デザイナーに依頼しただけあって素晴しい見栄えです。見栄えだけは。

参戦2年目にしてチームは存続の危機に陥り、プレシーズンテストもままならず開幕戦でシェイクダウン、2戦目でようやく決勝レースの出走が認められるなど末期状態だったHRT。税関にパーツを止められてテストもできないなど、破産との激しい戦いだったシーズンです。
この年ロータスは躍進、ヴァージンは停滞、HRTは存続維持と前年を争った新規3チームは皆バラバラの戦いを繰り広げていましたね。

ダラーラ製シャシーから自社製作マシンへの切り替えを目標にトヨタとの技術提携を申し込みましたが合意に至らず、なんとか自力でマシンを作り上げたものの競争力は皆無でした。
ウイリアムズ製ギアボックスを搭載しましたが効果がどれだけあったのかはわかりませんね。というか当時は、こんな状態のチームでもF1(規格の)マシンを作れることに感動しました。どこから生み出されたんでしょうねこのマシン。

サイドポッドに大きく掲載された「This could be you」。こんなの初めて見ました。リアウイングの「Cool Spot」 もなかなかいい味出しています。これだけスポンサー募集をしながらシーズンを通してスポンサーが付かず、結果マシン同様にチームがチェッカーを受けたのは落語のような面白さがあります。
HRTは進歩する可能性を微塵も感じなかったので好きではなかったのですが、このマシンはこの歴史的なカラーリングとその前後のいきさつを含めてコレクション加えています。

マシン開発どころか製作もままならない資金状態ながら、カラーリング用にデザイナーを雇っただけあってリバリーだけは素晴しい「F111」。
参戦価値のほぼないチームでしたが、リカルドのデビューのためレッドブルがシートを一つお買い上げしてくれました。これがあってチームは翌年まで延命できた気がします。
かつての中堅弱小チームは有望な若手を青田買いしてトップチームに売り込み資金を確保したものですが、今ではトップチームが青田買いした若手向けにシートを売って生き延びるのが常用手段です。近代それを始めたのがこのHRT「F111」とも言えるでしょうか。
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