ルノー R30 R.クビサ

アルピーヌ・ルノー2010

場違いの活躍

【ミニチャンプス ルノーR30 R.クビサ 2010】

BMWの撤退で急遽2010年のドライバー市場に出たクビサ。アロンソの後任としてワークスルノーに移籍し、トラブルがなければ全戦でポイントを獲得するなどエースとして申し分ない実力を見せつけました。

伝統的なイエローを纏ったマシンはポイント争いの常連で、クビサは表彰台争いにも絡む活躍を見せました。モナコGPではレッドブル勢とPP争いをしたほか、後半戦のベルギーGPでは開発が遅れていたFダクトを他チームに数か月遅れてようやく搭載した途端に表彰台を獲得し、アップデートをリザルトに即結び付けたことが印象深く残っています。

アロンソの離脱で舵取りを失ったルノーがクビサと組んだことはうまく機能し、期待されたタッグ2年目の新車は初の合同テストでトップタイムを記録するなど成功を予感させましたが、2011年2月にラリー参戦中の事故によって彼の継続参戦は叶わなくなりました。

当時私はガラケーの乏しいニュースサイトでクビサの事故を知り、安否不明、意識不明、容体安定、左手の損傷と刻々と変化する情報を追っていました。まだスマホの普及前で、F1速報の新車情報号に急きょ盛り込まれた見開きページが手にしたまともな情報だった気がします。想像以上に事態はかなり悪いものでしたね。

マシンに合わせてクビサもヘルメットを黄色にしたことで統一感が生まれ、実績ともにルノーのエースとして走った2010年。セカンドはロシアのお財布でしたが、ここにグロージャンが収まればワークスルノーの撤退もなかったかもしれません。2021年にルノーがアロンソを獲得したように、ワークス参戦を維持できるトップドライバーとしてのステータスがクビサにはあったと思います。

2008年の初優勝、そしてタイトル争いの時点で既にトップドライバーと目されていたクビサにとって、この年のルノーでは力を存分に発揮するには不十分だったでしょう。主戦場はトップ3強と中団の間でしたが、中団勢のドライバーでは相手にならず、サーキットの特性によっては3強を崩しにかかる速さを見せました。

復帰した2019年のフル参戦はけがの後遺症やウイリアムズの競争力不足によって散々な成績だったので、最近F1を見た人にとってはなぜ彼がいまだに重宝されているのかわかりにくいですよね。間違いなくタイトル争いに何度も絡むと言われた速さがあったんですよ。

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