100人目のウィナー

【ミニチャンプス マクラーレンMP4-23 H.コバライネン 2008】
ハンガリーGPでF1通算100人目の優勝者となったコバライネン。「勝者の世界にようこそ」というロン・デニスの粋な無線で祝福されたのですが、これが唯一の勝利となりドアを開けただけで終わってしまいました。

デビューイヤーに表彰台を獲得し、上り調子で迎えた2年目のコバライネン。不意の移籍となったものの所属はトップチームのマクラーレンとあって、優勝は絶対の目標だったことでしょう。しかし結果は1位2位3位をそれぞれ1回ずつ、わずか3度の表彰台というこのチームにあっては微妙な結果となってしまいました。

とにかく地味だったコバライネンのマクラーレン時代。翌2009年まで2年間所属しましたが、その間エースのハミルトンがとっ散らかっていただけに、チームがコバライネンに構っている余裕はないと感じるようなサポート皆無のレースが多かった気がします。08年はフェラーリ・BMWどころかアロンソにまで負けランキング7位、低迷した09年にいたっては完全にハミルトンのための実験台状態で12位と、あまりにも不遇な2年間となってしまいました……。

その後を思うとこの年に優勝を果たし、GPウィナーとして箔が付いたのは彼にとって何よりの幸運でした。この2008年はハミルトン・マッサ・ライコネンがそれぞれミスを頻発する中、コバライネンは粛々と中団を走っていた印象です。2009年はそれはもうひどいもので、開幕2戦の走行ラップ数はSC以下という深刻なスタートでした。それでも改善された後半に加え、第3戦中国GPで雨の中の5位完走は彼の才能を示していたと思うんですけどね。

アロンソを追い出しハミルトンを屋台骨に据える予定だったマクラーレンですが、そのハミルトンの不安定さにチームがぐらつき混乱したこの2年間。同じく2年目のコバライネンが所属するにはあまりにも不運な環境だったことでしょう。翌09年の低迷で2010年からは新参ロータスへ都落ちすることになりますが、この時代の活躍を見ると彼はもっとやれたと思います。時代の犠牲者なのです……。
2010年の新規3チームの中では群を抜いて躍動していたコバライネン。彼をエースに据える中堅チームがあれば結構躍進していたと思うんですけどね。フォースインディアの目とかなかったのかなぁ。
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