玄人好みの良いレース
準備の遅れ、地元との衝突、従業員のストライキにFP1でのコース破損と問題続きだったラスベガスGP。リバティメディア主導の肝いりのレースという期待値の高さに反してぐだぐだな進行で賛否両論のまま決勝レースを迎えましたが、予想に反してタイヤ戦略がものをいうレースファン向けの展開になりました。皆が慎重にいったスタートでも路面の悪さで混乱が起きましたが、それでも大荒れ・大味のレースにはならないハイレベルな戦いとなって大満足です。
主役となったのはフェラーリとレッドブル。フェラーリはサインツをFP1のトラブルで失ったのが痛く、2台を相手にすることになったルクレールはペースがありつつも苦戦を強いられました。しかしフェルスタッペンは本当に止まらないですね。スタートでの5秒ペナルティをレースペースで挽回するのは予想できた展開でしたが、その後のラッセルとの接触でのダメージやペレスの介護まで勤めて優勝とは恐れ入ります。1コーナーでのとにかく抜いておけばいいんだろっていう姿勢は往年のシューマッハを感じたなぁ。
そのルクレールもやられっぱなしで終わらず、最終ラップでペレスから2位を奪還しました。ペレスは抜かれつつもランキング2位を決め、レッドブル史上初のドライバーズ1-2を決めた立役者になったものの、フェルスタッペンにおんぶにだっこで最後ポジションを守れないのはかっこわるいよね……。一時首位に立った時にペレス担当クルーが一瞬儚く喜んだ様が悲しみを誘います。
低グリップ・低気温で大荒れが予想された割に、クラッシュによるリタイアはノリス一台と大人しい展開でした。ただ同じくリスキーと予想されたアゼルバイジャンGPも1年目は皆おとなしく、2年目から賢くなった各チームがいろいろ仕掛けて荒れた記憶があるのでこのコースが真に牙を剥くのは来年からかな、と期待と怖さがあります。
全体的に素晴らしいレースでしたが、がっかりだったのはウイリアムズ勢。3列目スタートからポイント獲得すらできませんでした。特にサージェントは、マシンが違うとはいえ同期のピアストリとの差がちょっと大きすぎますね。アメリカ資本を一人で背負うプレッシャーがあるにせよ、もうちょっと頑張ってほしいなぁ。3回の母国凱旋で10位入賞1回はねぇ……。
スタートが現地土曜深夜ということで、日本では日曜昼に観れるレースとして発表時から個人的にとても期待していたこのレース、初年度は成功といってよいのではないでしょうか。数年前にヨーロッパRdのスタート時間が1時間繰り下げられてから日を跨ぐレースが増加し、アジアのレースは瞬く間に減少、鈴鹿とメルボルンぐらいしか快適に観れるレースはなかったのですがその鈴鹿も春に移行してしまい、後半戦でまともにTV観戦できるレースが消滅の危機にありましたからね。終盤の目玉が一つできて良かったです。レースが終わってまだ17時過ぎなんてサイコー!
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