もうF1をスポーツだと思えない

【ミニチャンプス ルノーR26 F.アロンソ 2006】
アロンソが2連覇を果たした2006年マシンの通常モデル。新進気鋭、シューマッハを応援する側にとっては憎たらしいほど強かったのですが、出る杭が打たれるのごとく人を変える一年となってしまいました。この年の経緯についてはチャンピオンモデルのこちらをどうぞ。

前年当時の史上最年少記録で王座を獲得し、連覇を目指して挑んだ2006年。エンジン規定の変更、予選フォーマットの大変革、タイヤ交換の復活とマシン形状は変わらないもののレースそのものの戦い方は大きく変化しました。
その中でアロンソはマシンの信頼性と俊敏性を武器に車を振り回して戦う別次元の戦いを見せます。オーストラリアGPのウォームアップの振り回し具合とか、とんでもないコントロールでしたねぇ……。

前半戦で大勢が決するほどに連勝を挙げたのですが、中盤フェラーリが反撃ムードを見せるとFIAも呼応してマスダンパーの禁止やイタリアGPの予選タイム抹消などF1総出でアロンソと戦う後半戦を迎えます。
終盤戦ではシューマッハに対して自力では勝利を狙えない所まで追い詰められましたが、彼のエンジントラブルによって幸運にもタイトル防衛に成功しました。当時はシューマッハのタイトル奪還ならず残念に思いましたが、今思えばこの決着が正解だったように思いますね。

この「R26」はマイルドセブンのタバコロゴを禁止されたヨーロッパRdではそれっぽい模様を描いたスペシャルカラーリングで参戦し、優勝したレース仕様はモデル化されたものの未だこの通常版の人気は根強いですね。
後半戦仕様でサイドポッドフィンがついたフランスGP仕様とこの通常版は今でもあまり値崩れしません。まぁ落ちる理由もないですね。この時代の名車です。

相次ぐFIAの政治的措置に、「F1をスポーツだと思えない」と発言したアロンソ。21年シーズン前の復帰直前に書いたチャンピオンモデルの記事では、これが原因で彼自身が政治活動に走るようになったのかなと書いたものでした。
その後さらに経験を積んだ2023年以降はチームメイトの様子やライバルのペナルティまで判断できるようになり、もはやスポーツに挑むアスリートとしてのF1ドライバーとしてだけでなく、速さと強さが象徴されるただのF1チャンピオンでもない別の何かになりつつあります。
個人的にはザク・ブラウンがかつて評した「レーシングモンスター」という言葉がかなりしっくりきますね。運転技術からレース運営まで「F1のことならなんでもござれ」という感じがします。
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