ディジョンの決闘

【ブルム フェラーリ312T4 G.ヴィルヌーブ フランスGP 1979】
ヴィルヌーブが生涯で最も競争力のあるマシンを獲得した1979年シーズン。チームメイトのシェクターと初めてタイトルを争い、その果敢なドライビングはまたも伝説を残します。

開幕直後に自身初の連勝を挙げると、その後もコンスタントに表彰台を獲得し通算3勝2位4回という好成績でランキング2位を掴んだヴィルヌーブ。タイトルこそチームメイトに譲りますが、ここには険悪な関係性はなくフェアな戦いの結果で、モンツァではチームオーダーに従うなど最後はシェクターの王座をアシストしました。まだ若いジルは後の自分の番を期待して素直に従ったと言われます。

頻繁に上位を争ったこのシーズンの中でも、ディジョンサーキットで行われたフランスGPでの2位争いは語り草となっていてF1史上屈指の名バトルとして知られています。ラスト3周、ルノーのアルヌーとほぼコース全てをサイドバイサイドで競い合い、何度か接触しながらもフェアなバトルを繰り広げました。F1がマシン規約改正のたびに目指す「バトルできるマシン」というのは、このシーンの再現を目指しているといっても過言ではないかもしれません。

開発5年目となった「312T4」はついにトレンドのグラウンドエフェクトを採用します。完全なマシンとはならなかったものの、312Tシリーズとして長年熟成が進んだマシンは信頼性・操作性共に優れておりダブルタイトルを獲得。フロントノーズの独特の形状からルックスが酷評される一方で、312Tシリーズの集大成として華々しい成果を残しました。

F1の歴史を知る上で欠かせないこの年のフランスGPの戦いは、Youtubeなどで見られますので知らない人はぜひ見てほしいです。マシンの頑丈さが今と違うとはいえ、並のドライバーでは成し得ない見事なバトルとなっています。また、今年話題になったポーポイシング現象が発見された当時の様子も見ることもできます。
ジルの歴史を語る上で欠かせないこのシーズン。走りが記憶に残るドライバーですが、頭角を現した天才が記録を残し始めた年として、フェラーリの歴史にその勝利を刻んでいます。
ジル・ヴィルヌーブの歴代マシン特集はこちら。関係深いドライバーの紹介も含め、そのキャリアを追うことができるように記載しましたのでぜひご覧ください。
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