アストンマーティン AMR22 S.ベッテル 日本GP

アストンマーティン2022

最後の鈴鹿

【ミニチャンプス アストンマーティンAMR22 S.ベッテル 日本GP 2022】

鈴鹿を愛し、鈴鹿に愛されたベッテルの日本GP最終レース。予選ではコースに「アリガトウゴザイマス」と感謝を述べるなどお別れムード一色でしたが、この年のベストレースともいえる結果を残しました。

ハンガリーGP前日にこの年限りでのF1引退を発表したベッテル。アストンマーティンに加入した前年2021年は2位表彰台を獲得するなどフェラーリで傷ついた名誉を取り戻すかと思われましたが、残念ながらこの年チームは大きく失速。ベッテルをもって最高位8位、予選Q3にも進出できないレースが続き、ついに引退を決断することとなりました。

引退表明以降も事態は一向に改善しませんでしたが、過去鈴鹿4勝でここを得意とするベッテルは10戦ぶりのQ3進出を達成。これはさすがベッテルという走りでしたよね。雨の決勝レースでは1コーナーで接触し最後尾に転落してしまうのですが、幸運にもレースを継続できたこと、さらに下位に落ち込みウェットからいち早くインターに交換するギャンブルが当たったことで入賞戦線に復帰し、この年自己ベストタイとなる6位完走を果たしました。

BWTのピンクラインが消え、アストンマーティンらしいブリティッシュグリーンと蛍光イエローラインのカラーリングとなったこの年のマシン。ルックスは劇的に改善したのですが新規定初年度のマシンを大きく外し、チーム最高位が6位というコンスト7位の微妙なマシンとなっていました。

この年は新規定といいつつ、フェラーリPU組やメルセデス-ウイリアムズ間など同じ部品を共有するグループは似たようなコンセプトで戦っていましたよね。その分マクラーレンやアルピーヌ、そしてこのチームはレベルの高い独自性を求められたのですが、まだまだトップチームとの壁を感じる1年となりました。2024年まで相変わらず2年連続で好成績を残せないですねぇ。

一体キャリア全体でいくつのスペシャルヘルメットを用意したのかわからないベッテル。この日本GPもブルーのラインが入った特別ヘルメットで戦いました。この人がコロコロデザインを変えるので一時期はヘルメットデザイン変更禁止なんてルールもできましたが、晩年はドイツ国旗をあしらった基本デザインを残した細かな変更が増えましたよね。今となってはレッドブル時代のガラリと変わる日々が懐かしい……。

正直に言えば2022年のベッテルは元気がなく、引退発表も「まぁそうなるよな……」という感じであったのですが、この日本GPは往年の鈴鹿で強いベッテルを垣間見える力強いレースを見せてくれました。最後のアロンソとのサイドバイサイドなんて、この年のベストシーンの一つですよね。自身が最も得意としたコースで運に味方され結果を残すなんて、最後までベッテルにとって鈴鹿は特別な場所なんだなぁと感じたこの年の彼のベストレースなのでした。

個人的にベッテルのキャリアベストの鈴鹿のレースは2013年。それまでの3勝はすべてポールトゥウィンでしたが、この2013年はチームメイトにポールを奪われ、決勝レースではウェバーに加えて新鋭グロージャンを相手にタイヤマネジメントで戦いました。首位独走だけじゃないんだぞっていうところがかっこいいですね。

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