チーム初のポールポジション
【ミニチャンプス ハースVF-22 K.マグヌッセン ブラジルGP 2022】
2016年に参戦したハースチームにとって初めてのポールポジションを獲得したこのブラジルGP。チームの窮地を救ったマグヌッセンのその後は安泰だと思われたのですが……。
2020年まで4年間チームに在籍し、高い評価を得ていたマグヌッセン。しかし2021年は財政難からペイドライバーのロシア人、マゼピンにシートを奪われプジョーのWECドライバーにキャリアの活路を見出していました。ただそのマゼピンが国際情勢でシートを失うとピンチヒッターとして白羽の矢が立ちF1復帰を果たします。このエピソードを見ると、いかに彼がチームから信頼されていたのかがわかりますよね。
2022年は2年目のミック・シューマッハと組みますが力の差を見せつけ、9度の入賞でハースのエースとして大車輪の活躍を見せました。こうして好調を続けるドライバーにはご褒美のような好成績が待っているのがF1の面白いところで、終盤のブラジルGP予選では雨と赤旗が味方し自身そしてチーム初のポールポジションを獲得します。表彰台経験の無いこのチームにとって、入賞以外で初めての記録に残る成果だっただけにチームから彼への信頼は最大のものに達していたことでしょう……。
前半・中盤・終盤と満遍なく入賞を果たしたVF-22。ハースは過去2年ろくに入賞できない状態でしたが、この年からの新規定で絶好調だったフェラーリと同じコンセプトを採用したこのチームも見事復活を果たしました。しかしポイント数では圧倒的にマグヌッセンが優勢ながら、実はチーム最高位はミックが6位を獲得しているのにそれはあまり評価されていませんね。後を思えば、不当なまでのミックへの低評価がマグヌッセンへの過信を招いていたような気がしますが……。
チームのピンチを救い、望外の結果をもたらしたこの年のマグヌッセン。しかしこの成功でチームがベテランのヒュルケンベルグの採用を決めると、翌2023年は彼との差がみるみる明らかになってしまいました。2024年の序盤は予選で好調のヒュルケンベルグの入賞のため、ペナルティ覚悟の不当なブロッキングで身を挺してチームに貢献したマグヌッセン。しかしチーム残留は叶わず、自身への悪名だけを残してシートを失いました。
近年のハースはまともなドライバーラインナップを組めないチームだったので、F1市場で評価の高いヒュルケンベルグを採用して初めてようやくF1チームらしいフィードバックを得られるようになったのかな、なんて邪推してしまいますよね。その土台作りを成し遂げたのはマグヌッセンだったのですが、彼の役割はこれでおしまいなのでしょうか。一応ハミルトン以来のデビュー戦表彰台経験者なのですが、新興チームの礎になるキャリアになるとはなぁ……。
旬の過ぎたグロージャン、荒っぽさが治らないマグヌッセンというコンビが長すぎたハースチーム。個人的にマグヌッセンはまだ若いしハツラツと走ってくださいと思っていましたが、大ベテランのヒュルケンベルグとの比較で「正しいものさし」で評価されるとあっという間にシート喪失となりました。まぁヒュルケンベルグも決してトップレベルではないはずなので、それ以下だと評されたならしょうがないですね……。
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