期待と失望のジェットコースター
【ミニチャンプス ザウバーC31 小林可夢偉 2012】
小林可夢偉のザウバーC31通常モデル。日本GPの表彰台仕様の方が有名かもしれませんが、この通常カラーリングでの1年間は毎週毎週いろいろな思い出がありましたねぇ……。
第2戦で自身がトラブルでリタイアした一方、僚友ペレスが殊勲の2位を獲得して始まったシーズン序盤戦。このレースは本当に悔しい1戦でしたし、それまでは頻繁に投稿されていた可夢偉選手のTwitterもこのレース以降かなり更新が止まった覚えがあります。今思えばこの時にこのシーズンの命運は決まっていた気もするし、それでも日本GPで3位をもぎ取ったのが彼の強さだったのかもしれません。
ヨーロッパラウンドを迎えてからは調子を取り戻し、スペインGPで5位、ドイツGPで4位と中団ではトップの成績を残したレースもありました。いずれも予選グリッドから数ポジション上げての入賞で、彼の力量が光るものだったと思います。ただその一方でペレスが予選後方に沈んだことから選んだリバースストラテジーが当たり、カナダGPで3位、イタリアGPで2位を記録したことで可夢偉選手の奮闘は陰に隠れてしまいます。本当に、「活躍しているのに悔しい」というもどかしいシーズンだったなぁ……。
シーズン終盤にはベルギーGPで2位フロントローを獲得し、ついに!という期待が最高潮に高まりました。しかしこのレースは伝説の「マルドナードがとんでもないフライングを犯し、さらにその後ろからグロージャンが大クラッシュを引き起こす」というこの年の問題児2人が大暴れしたスタートとなってしまい、2位の可夢偉選手も巻き込まれて終戦。表彰台への期待は1コーナーに達することなく潰えてしまいます。この日曜日、私は全部の予定をキャンセルしてリアルタイム観戦に備えていたんですけどね……。
2位2回3位1回のペレスに対し、3位1回の可夢偉選手はポイントでわずか6点差しか離されていないことからも、いかに彼がチームのエースとして安定して上位入賞していたかがわかるかと思います。ただ昨年までの強みだった連続入賞が一度もなく、時にはヨーロッパGP・韓国GPの不用意なクラッシュやイギリスGPでピットクルーと接触してしまうアクシデントなどもありました。3年目にして最も不安定なシーズンとなってしまった2012年なのですが、「ザウバーは中団最上位だけど3強には敵わない」「中堅ロータスとウイリアムズにクラッシャーがいる」という条件下で中団上位をひた走る彼の不運はある種必然だったのかもしれません……。
この年の問題児の一人マルドナードですが、今日までのウイリアムズ最後の優勝を記録しました。一方グロージャンは3度の表彰台を獲得するもクラッシュが多く1戦の出走停止処分に。上位3強といえども少しでも中団に近づけば彼らに巻き込まれる、リスキーなシーズンでしたねぇ。
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