値千金の一勝
【ルックスマート フェラーリSF-23 C.サインツ シンガポールGP 2023】
最強レッドブルが2023年シーズンで唯一落とした決勝レースで勝利を挙げたサインツ。ポールからの盤石な優勝でしたが、マックスの連勝記録を止めたのがこの人というのは熱い展開でした。
ドライバーズランキング7位と、結果だけ見ればパッとしない成績に終わった2023年のサインツ。前年初優勝を挙げ躍進したものの、この年はメルセデスに加え台頭したアストンマーティンにも後塵を拝す苦しい展開が続きます。その証拠に夏休み前の表彰台はオーストリアGPでのスプリント3位1回のみと、ポディウムにすら届かない前半戦となりました。
転機となったのはイタリアGPで、お膝元でレッドブルに1-2を許すもチームメイトを抑えて3位を獲得、シーズン初の決勝レースでの表彰台を獲得しました。そして迎えた続くシンガポールGP、この年の大躍進からは信じられないレッドブルの低迷の傍ら、フェラーリ勢がフリー走行からトップタイムを連発して勝利をもぎ取ります。
前年はそのルックスと速さでとても美しいマシンだったF1-75ですが、後継機のSF-23はなんとも微妙な一台になってしまいました。形状は大きく変わっていないのですが、この年トレンドだった軽量化のためのカーボンむき出しサイドポッドがなんともかっこよくない……。成績もこの優勝を含めて表彰台7回というあわや未勝利マシンの仲間入りという状態だったので、あまり記憶に残るマシンではありませんね。本当に、マックスとレッドブルの連勝を止めたサインツのマシン、というだけのイメージです。
前戦イタリアGPでマックスが前人未踏の10連勝を成し遂げ、さらに11連勝へと記録を伸ばそうかというタイミングで同期デビューのサインツが止めたのは本当にかっこよかったですよね。フェルスタッペンという歴史に残る超逸材と同年同チームでデビューしたというだけで普通なら瞬殺されそうですが、こうしてトップチームに上り詰め、彼の記録に立ち向かうサインツの姿は本当にしびれます。この人を見ていると、本物の速さを持っていればチームメイトに潰されるということはないんだなって思えますよね。レッドブルのシーズン全勝記録にも歯止めをかけ、まさにF1の救世主となったサインツなのでした。
この感動を以前に感じたのは2011年にレッドブルの全戦ポールポジション記録をあと一歩のところで止めたハミルトン。この年のルイスは本当に不調でレースの結果は残せませんでしたが、その速さで爪痕を残しましたよね。
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