BMWザウバー F1.09 N.ハイドフェルド

BMWザウバー2009

KERSの思い出

【ミニチャンプス BMWザウバーF1.09 N.ハイドフェルド 2009】

F1にハイブリッドシステムが導入されたのは2009年。「KERS」と呼ばれたブレーキ回生システムは数多の波紋を生み、多くのドライバーを葬りました。

2009年のBMWザウバーはそれはもう酷い惨状で、前年タイトルを争ったチームがランキング6位、両ドライバー13-14位という成績で終えました。

それぞれ2位表彰台を一度ずつ獲得していますが、これがなければ本当に語るものないシーズンでしたよね。後半地力で掴んだクビサに対し、第2戦マレーシアGPでは大雨赤旗で2位を獲得したハイドフェルドはさすがのシルバーコレクターという感じでした。

そんな苦しいシーズンでとにかく足を引っ張ったのが上述のKERSで、あまりの重量増で大きなハンデだったと言われます。長身のクビサは搭載するとまともにレースできない事態に陥りたった1戦の使用に留まりました。

対してハイドフェルドは本社肝いりとあって開幕戦から4戦目まで搭載。前年エースの座を失ったことがこんな形で響くこととなってしまいました。あの扱いは露骨で可哀そうだったなぁ……。

前年の素晴らしいルックスから一転、見るも無残な姿になってしまった「F1.09」。一応クビサは開幕戦でクラッシュするまで表彰台を争っていたしこんなマシンでも戦っていたのでミニカーを買ったものの、ハイドフェルドは上述の雑な扱いもあって全く買う気がしませんでした。

ただそんなKERSの発展型パワーユニットの時代も終焉ということで、投げ売りされていた彼を購入しました。ハイブリッド導入の混乱期を象徴する一台ですからね。

とにかく混乱まみれだったKERSの導入。09年以前の初期型テストではBMWザウバーのスタッフが感電事故を起こした報道も流れましたね。今では当たり前のメカニックのゴムグローブ装備も、こうしたBMWザウバーの犠牲によって生み出されたものでした。

また必須安全装置のマシンへの通電状態を示すシグナルも初年度開幕時はなかったですよね。いくら最高峰の技術者が集まるF1とはいえ、今の知識・常識で考えるとかなり無謀で危ない、急進的な変化でしたねぇ……。

BMWザウバーを率いてきた経験があったものの、この年の成績不振を理由に翌年のシートを失ったハイドフェルド。KERSの重りだけ背負わされた彼はこの年の悲しすぎるお別れでF1キャリアが実質的に絶たれてしまいました。

そんな彼が唯一この年残した記録は当時最多の連続完走「41」でした。それまではシューマッハの「24」が最多だったはずなので、大幅更新でしたね。この数字こそ彼を安定感を示し、彼の限界を示していると思います。

KERSを搭載して勝ったチャンピオンすらシートを追われたのに、未勝利ドライバーなどシートを得られるはずもなく……。今のF1バブルによる安定感を思うと、2009年末のストーブリーグは本当に異様でしたね。

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