情熱では勝てない
【ミニチャンプス トヨタTF106 J.トゥルーリ 2006】
トヨタからのフル参戦2年目となったこの年。トゥルーリは前年チームに初表彰台をもたらす大活躍を見せましたが、この年は大きく低迷しました。
第3戦オーストラリアGPの荒れた展開でチームメイトのラルフが3位表彰台を獲得したものの、チームとしてはこれが唯一のポディウムとなった2006年。トゥルーリは最高位4位を記録しましたが、入賞わずか5回という不振に見舞われました。
低迷の要因の一つは、当時のタイヤ戦争全盛期にミシュランからブリヂストンにスイッチしたことが挙げられます。翌年のブリヂストンへのワンメイク化を見越したとはいえ、過激な開発競争が続いた両メーカーのタイヤを切り替えることは容易ではなかったのでしょうね。ミシュランを継続したホンダが初優勝を挙げたことで、日系チームの間では前年と立場が入れ替わってしまうのでした。
もはや死語となったBスペックが使われた最後のマシンはこのTF106かもしれません。開幕戦でだめだと分かればモノコックごと刷新したアップデートを序盤のモナコGPに投入するのですから、この当時のF1の開発スピードもなかなか狂ってますよね。
この当時トヨタはお安くそこそこ速いマシンを作ることで名の知れたマイク・ガスコインというエンジニアをトップに据えていましたが、これを解雇し更なる躍進を目指して体制変更を図る1年となりました。懐かしい名前だなぁ。最後はケーターハムでしたっけ?そこでトゥルーリと再会していますね。
翌07年以降、特に08-09年の大躍進を思えばこの年のタイヤスイッチとエンジニアリング体制変更は大英断だったのでしょう。一方でほぼ犠牲になったこの年は大した活躍もないのに国内メディアが大きく取り上げたことで少々の顰蹙を買っていたかもしれません。トゥルーリは日本とトヨタへの熱意を語るけどさ、気持ちだけで結果がついてきてないじゃん?みたいな。
個人的な思い出を語れば、このマシンは私が初めてみたF1のデモランだったのでかなり記憶に残っています。06年のお台場のイベントで、今は亡きメガウェブの裏をトヨタのF1マシンが走り、初めてF1のエンジンサウンドを体験しました。地方の学生でも東京に行けばF1マシンを見れるというのは、とても恵まれた環境だったのだと思います。今もレッドブルとホンダが辛うじていくつかイベントを開催してくれていますが、この当時と比べるとF1に触れる敷居は高くなってしまいましたねぇ……。
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