悲願のルマン初制覇

【スパーク トヨタGR010 M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス ルマンWinner 2021】
2016年にWEC参戦を開始してから6年目にして掴んだ栄光のルマン24時間レース初優勝。彼はこの頃にはすっかり耐久レースのベテランとなっていました。

2017年は予選でコースレコードを記録し初の総合優勝が期待されましたが、レースでは「偽マーシャルの誘導」でクラッチを破損してリタイアに。トヨタが最高クラス唯一のワークスチームとなった2018年からも度重なるトラブルで勝利を逃し、6度目の挑戦でこの年が最初の総合優勝となりました。8号車がスタートで追突されたり致命傷に繋がりそうな燃料トラブルを解決できたことなど、この年は運が向いていましたね。

そんなトラブルに泣いた過去の5年間も決して速さで劣っていたわけではなかったですし、シリーズ開幕前に参戦したデイトナ24時間レースでは2連覇を果たしています。更に前年にはWECシリーズチャンピオンも獲得してルマン以外の実績を全て残して挑んだ2021年。これでダメならあと何をするんだという状態でしたのでこの年に総合優勝できたことは本当に嬉しかったです。

参戦数の減少に歯止めをかけるため生まれた新たなハイパーカー規定の最初のマシンとなったトヨタ「GR010」。これまでの「TS050」から大きく見た目が変わるかと予想されましたが、外観にはそれほど変化がなく拍子抜けした記憶があります。その中身はまるで全く別物らしいですが……。
ライバルが撤退しても最後まで残ったトヨタですから経験を武器に新参ワークスとの戦いにも勝利してほしいのですが、近年は露骨な性能調整や唐突なルール変更によって勝機を奪われています。それでも挑み続け、ミスなく堅実に順位を上げて戦うチームの姿勢は応援したくなりますね。

F1のシートを喪失して以降は国内カテゴリやFE、IMSAと様々なレースに参戦し続けてきた小林可夢偉選手。2022年からはドライバーとしてだけではなくTGRチームの代表も務める二刀流の活躍で、トヨタの支援のもとドライバーキャリアの新たな可能性を示してくれています。次にかかる期待は代表兼任ドライバーとしてのルマン初制覇です。通算勝利1回では間違いなく実績に見合わないので、もう1度の栄冠を期待したいです。
2016年のWEC初優勝を現地観戦していたので、あの最後の力走状態で24時間戦っているのだろうと思うと応援にも熱が入ります。
コメント