急がば回れ
【ルックスマート フェラーリSF71H S.ベッテル オーストラリアGP 2018】
フェラーリ時代のベッテルが最もタイトルに近づいた2018年。この開幕戦の勝利から前半戦はメルセデスに大きなリードを築きました。そして運命を決めた母国凱旋のドイツGPで、彼のキャリアは大きな転換を迎えます。
2016年の失望を経て、2017年に復調の兆しを見せたフェラーリ。2018年は開幕から連勝し、ようやく力強いフェラーリが戻ってきたと感じさせてくれましたね。特にバーレーンGPでは完全に終わったタイヤでボッタスを抑え切っての優勝と、ベッテルのコンディションが絶好調であったことが見て取れました。
大きなリードを築いて迎えた後半戦のドイツGP、ベッテルは2013年以来となる母国制覇を目指し、レース終盤まで首位を走行していたのですが突然の雨が運命を狂わせます。残り数ラップというところで痛恨のミスからコースアウト、リタイアとなってしまい優勝を失ったばかりか、予選14位からスタートしたタイトルを争うハミルトンに勝利を譲ってしまい、以降のシーズンの流れは完全に相手に傾いてしまうのでした。
SF71Hほど評価の難しいマシンはありませんね。前半戦はフェラーリ・ベッテル史上最速のマシンといえますが、後半は信じられないほどのスピンを繰り返したベッテル失墜の始まりといえるマシンです。うーん、ポイントではベッテルが勝っていてもライコネンのマシンという印象が強いですねぇ。
ドイツGPでのスピンが彼のメンタルに影響したのは明らかで、後のイタリアGP、アメリカGPではオープニングラップでスピンを期して最後尾まで転落するなど、もはやタイトル争うドライバーの走りではなくなっていました。後のGPニュースで川合ちゃんがあの場面でカウンターを当てずにハーフスピンで留まっておけば優勝はなくとも表彰台は取れていただろうと解説しています。もしそうなっていたら、彼はここまで調子を崩さずタイトル争いの行方も変わっていたかもしれません。もしそうなっていたら、2019年のドライバー人選も変わっていたかもしれません。その後の影響を思うと、あのドイツでのスピンは近代F1に大きな影響を与えたワンシーンと言えますね。
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