それは蜃気楼のように

【ミニチャンプス フォースインディアVJM06 P.ディレスタ 2013】
メルセデスの元祖秘蔵っ子ディレスタが最も輝いた2013年シーズン。バーレーンGPでは展開を味方に表彰台も見えていたのですが、この一戦がキャリアの転機になってしまいました。

6番手スタートで迎えた第4戦バーレーンGP、前を行くロズベルグがペース不足で失速し、フェラーリ勢は相次ぐトラブルで後退とディレスタにとって格好の表彰台のチャンスとなりました。
実質的な脅威は予選後方に沈んだロータス勢でしたが、レースの大半を表彰台圏内で力強く走行した彼の初ポディウムはかなり現実的だったと思います。

が、予想以上にペースのよかったグロージャンが3ストップで猛追したこのレース。ロータスの一台ライコネンに抜かれ3位に落ちたディレスタはなんとか順位を死守したかったところですが、残り5周で力尽きグロージャンに抜かれてしまいました。
結果はわずか2秒差での4位完走と、これを機にキャリアが大きく後退するディレスタにとってはあまりにも重い2秒となってしまったのでした。

そんな活躍もあり入手の難しいこの「VJM06」ディレスタ車。2013年モデルは生産数が少なく、中堅の人気ドライバーは滅多に手に入りませんね。
翌年からはスポンサーの国際化が進みインド色が一気に減ってしまうので「フォースインディアらしい」最後のカラーリングだったと思います。特徴的な極太ノーズとこの好成績があり、ぜひコレクションに加えたい一台ですね。

この4位も含め6戦連続入賞を果たし、前半戦の入賞率は7割越えと中団では頭一つ抜けていたこの年のディレスタ。しかしシーズン後半のタイヤコンパウンド変更を受けてチームは瞬く間に低迷し、後半戦の入賞はわずか2回に終わります。
この後半の低迷が効いてシートを喪失する彼にとって、F1キャリア最初で最後のチャンスはやはりこの年のバーレーンGPだったと思います。あと数周粘って表彰台を獲得できていれば、その後のメルセデスのドライバー人事に多大な影響を及ぼしたことでしょう……。
ディレスタのデビューマシン。堅実というか地味というか、そのすべてが詰まっていたようなバーレーンGPでした。セカンドキャリアがメルセデス連戦連勝のインタビュアーなのはあまりに悲しかったですね……。
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