トロロッソ STR3 S.ブルデー

アルファタウリ・トロロッソ2008

あの三度の不運

【ミニチャンプス トロロッソSTR3 S.ブルデー 2008】

北米のレジェンド、セバスチャン・ブルデーがF1デビューを果たしたのは2008年。なぜかトロロッソからとなりましたが、それでも実力を発揮するチャンスはありました。チャンスはね……。

4年連続チャンプカー王者の肩書を引っ提げデビューしたブルデー。トロロッソは2006年から彼を調査していたとされ、この年晴れてシートを得ます。でもなんで育成チームが彼を検討したんでしょうかね。あくまでも指南役目的だとしか思えませんが……。

そんなブルデーは開幕戦で7位完走を果たし、前評判に負けない実績を残しました。しかしこれは途中まで4位を走行中にトラブルでペースが落ちた結果で、これが無ければ4位完走という衝撃デビューでした。最初の不運ですね。

その後はベッテルに負け越したものの雨に翻弄されたベルギーGPではドライタイヤで粘り終盤まで3位を走行。チーム初の表彰台は彼によるものかと思われましたが、あと半ラップのところでずるずる抜かれてしまい7位に。天候の不運で好成績を残せませんでした。

極めつけはベッテルが初優勝したイタリアGPでポールの僚友に続いて4番手グリッドを獲得、ダブル表彰台も狙えた状況でしたがまさかのスタート前にエンジンストール。悪夢の最後尾スタートに転落し何もできず18位で終えました。

このうちのどれか一つでも、特にイタリアGPはまともにスタートできていたら、2009年以降のドライバー情勢が様変わりしていたかもしれませんよね……。

上記の不運の連続でベッテルに大差をつけられたブルデーですが、2009年もチームに残留。しかしチーム史上最低のマシン「STR4」では何もできず、前半戦でシートを失いF1から去る羽目になりました。確かに09年は本当に印象に残らなかったので、席を奪われてもしょうがなかったですね。

その後はインディカーや耐久シリーズで活躍を続けるブルデー。F1以外のレースも観ている人にとっては彼が実力者だということは周知の事実でしょうが、F1においては当時を観た人以外には「通算入賞4回」という記録だけが淡々と残り続けるのがこのスポーツの恐ろしいところですね。

あのフォーメーションラップで動かなかった時は本当にショックでしたが、それすら彼の初優勝のインパクトにかき消されてしまいました。こうして書き起こさないと彼の奮闘を忘れそう……。

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