秘密兵器登場

【ミニチャンプス ルノーR27 H.コバライネン 2007】
マクラーレンへの移籍が決まっていたアロンソの後任として、2006年にテストドライバーとして入念な走り込みを経てデビューを迎えたコバライネン。シーズンが進むにつれ、徐々に実力を見せました。

チャンピオンチームのルノーからアロンソの後任としてデビューするとあって期待値が高かったコバライネン。しかし開幕戦をスピンやコースオフ連発で散々な展開で終えると、序盤は完全にフィジケラに見劣りする展開が続き、誰もが「これはチャンピオンクラスの新人ではない」と感じたことと思います。

しかし中盤戦、Q1落ちするも荒れた展開を生き延びて4位完走したカナダGPを機に入賞を増やし、徐々にフィジケラを凌駕していきます。後半戦は7戦連続入賞に加え、大雨で荒れた日本GPでは格上フェラーリを抑え2位フィニッシュ。チームにシーズン唯一の表彰台をもたらし、完全にチームの主導権を取得していきました。

この年フィジケラがエースドライバー扱いではあったものの、最終的には成績で上回ってみせたコバライネン。デビュー前にハミルトンと並ぶ大型新人扱いされていた期待値からすれば物足りないものでしたが、この年のルノーの低迷を思うと新人としてはかなりよくやっていた方なんだろうなと思います。前評判が異常に高かっただけで、彼のキャリアを見ると良いドライバーだったよなぁ……。

上り調子で2年目を迎え、エースとしてルノーを牽引するかと思われていたコバライネン。しかしチームとの対立で古巣への出戻りを決めたアロンソと交換される形でマクラーレンに差し出されることになりました。彼にとってアロンソ・ハミルトンは倒すべき相手であったのに、この極めて政治的な移籍劇によってこの2人にこき使われる宿命が決まってしまったコバライネン。優勝と引き換えにチャンピオンにはなれないキャリアが決定づけられた瞬間だったと思ってしまいます……。
彼からすれば完全に貰い事故だったこの移籍劇。シーズン中はこの二人の対立がまさか自分の未来に影響するなんて思いもしなかったでしょう……。
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