クラッシュゲート事件よりも

【ミニチャンプス ルノーR28 N.ピケJr 2008】
3度の王者ネルソン・ピケの息子、ピケJrがF1デビューしたのは2008年。アロンソ-コバライネンの系譜に続く実力者かと思われましたが、明らかにミスの多い1年目でした。

コバライネンの移籍でアロンソとタッグを組みデビューすることになった2008年。アロンソが入賞を連発する一方で開幕7戦でリタイア5回、最高位11位という深刻な不振でシーズンをスタートします。しかしマシンの速さが改善すると第10戦ドイツGPではSCを味方に首位を走行、最後に抜かれたものの2位表彰台でチームにシーズン初のポディウムをもたらしました。

それでもチームの信頼を得るには不十分だったか、第15戦シンガポールGPでは予選で沈んだアロンソを有利にするため意図的にクラッシュしてSCを出動させるクラッシュゲート事件を引き起こしました。チームは執行猶予付きの参戦資格はく奪処分、首謀者は追放処分という重大事件になったこの1件。
翌年のシート維持を約束に事故を要求され承諾したものの、結局は翌09年には実績不足で解雇されてしまいピケJrはとても不遇なF1キャリアとなってしまいましたね。

いつ、なぜ買ったのか全く覚えがないこのミニカー。一応この年チーム最初の表彰台獲得マシンなのですが、完全にクラッシュゲートを象徴するモデルとなってしまいました。この件で永久追放されたフラビオ・ブリアトーレが昨年からアルピーヌで復活し敏腕を振るっていることに非難もあるようですが、個人的にはこの作戦を完遂した卓越した実行能力を持つ面々だと思うので復帰は歓迎です。「勝つため」という一点において彼らの行動はとても理路整然としていて関心します。

最近のF1はスポンサーも大口が多くコンプラが厳しいのか、こうした「そこまでして勝ちに行くか」という出来事はあまり見ませんね。そんなわけでクラッシュゲートは悪の象徴のような扱いですが、果たして事前に決めたタイミングでSCを導入できるからって思い通りに勝利できるものなんでしょうか。
レースは刻々と状況が変わるので、やっぱり私は完遂した面々のスキルに関心する気持ちの方が強いかなぁ。というかフェラーリがちゃんと給油していればこんな大事になっていなかった気がします。
クラッシュゲートより前年のスパイゲートの方が「各チームがマシンを製造して速さを競う」というF1の根底を揺るがす悪質な事件だったと思います。こちらは人が不審死している分、もはや話題にもならずタブー化してますね……。
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