ザウバー C35 F.ナッセ

ザウバー2016

ブラジルの転機

【ミニチャンプス ザウバーC35 F.ナッセ 2016】

2010年代後半のブラジル希望の星だったフェリペ・ナッセ。フェルスタッペン、サインツと同期デビューながら初陣で頭一つ抜けた5位入賞を果たし、将来有望かと思われたのですが……。

2014年ウイリアムズのテストドライバーを経て、翌15年にザウバーからデビューを果たしたナッセ。ブラジル銀行のスポンサーを抱えたペイドライバーかと思われましたが、荒れた開幕戦で5位入賞という偉大なデビューを果たしました。

新人デビュー戦でのこの好成績は2025年アントネッリの4位完走で再び脚光を浴びましたね。

デビューイヤーは6度の入賞で中堅ドライバーとして腕を披露しましたが、この2016年はザウバーの致命的な資金難から開発が進まず入賞わずか1回に留まりました。

しかしこの1回の9位入賞が母国ブラジルGPだったこと、そしてこの2ポイントでコンスト最下位を逃れることができた値千金のレースだったのですが、スポンサーを失いナッセはシートを喪失してしまいます。

前年に続きナッセの持ち込みスポンサー、ブラジル銀行のカラーに染まったザウバー「C35」。

しかし財政面は全く改善されずとにかく遅い一台で、派手な色合いで記憶には残るものの入賞1回、2ポイントという近年のザウバーでは無得点の2014年に次ぐ悲劇的な1年となりました。

この若い有望ブラジリアンがわずか2年でシート喪失したことで、翌年呼び戻されたマッサを最後に2025年のボルトレートまでブラジル人ドライバーは10年近く不在となってしまいました。

以降はIMSAを中心に耐久で活躍するナッセですが上位入賞のレースも多く腕は確かだったようで、あの時母国で入賞しチームを救った英雄を助けていればこの10年のブラジルF1事情は大きく変わっていただろうになと思ってしまいますね。

マッサが引退もナッセがブラジルの系譜を引き継ぐかと思いきや、まさかのマッサ続投で彼がシートを失ったこの年。せめて「最後のブラジル人」はナッセでその名を思い出すきっかけになっていればよかったのに……。

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