ハース VF-21 M.シューマッハ

ハース2021

彼が背負うもの

【ミニチャンプス ハースVF-21 M.シューマッハ 2021】

皇帝の息子、ミック・シューマッハのデビューマシンとなった2021年ハース「VF-21」。圧倒的な戦闘力不足によってコース上でF1らしい争いはできませんでしたが、ルーキーイヤーを戦い抜きました。

はじめに正直に言えば、2022年序盤までを見てミックの戦いはまだまだ足りないものが多いです。それでもいくつか評価できる部分もあり、それを主に海外のメディアなどは褒め称えているのですが、それを特別扱いだと非難する人も多いですね。しかし個人的にその主張は全くの誤りで、彼は特別扱いを受けているのではなく、「特別」そのものだと思っています。

ミックはF1最強の皇帝・ミハエルの息子として、多大な期待を背負っています。さらに彼を追い込むかのように、父ミハエルは表舞台に姿を現していません。父の引退とあのスキー事故から10年も経たないうちに、最大の後ろ盾のないままデビューしたミック。ブルーノ・セナは叔父アイルトンの死後15年近く経ってのデビューでしたが、ミックは父の記憶がまだ根強くファンに残る分、世界中の「シューマッハ」への期待の中で戦っていると思います。

20歳過ぎの若者がこれだけ世界中の期待を背負って一人で戦っているというだけで十分に尊敬できるものです。ポイントを取ってくれれば立派な偉業ですし、表彰台や優勝・タイトル争いなんでことになればそれはもう素晴らしいことです。「シューマッハ」という名があるからこの成績でもシートを維持できている、と安易に批判するより、その名の期待と重圧に耐えながら戦っている彼を尊敬・評価していきたいです。

無論、「F1は血統ではなく実力を競う場であるべき」という主張も理解できます。しかし、あれだけ世界に名を轟かせたシューマッハの血統が簡単に終わることを世界がよしと認められるでしょうか。私は時間をかけて彼にシートを与え続けるべきだと思います。いつか彼が勝てば世界中で話題になることは明白ですし、もしそうならなかったとしても、年齢的に区切りがつくところまでチャレンジし続けてほしいです。この名の知名度がある限り、早期に彼を見限るようなことにはならないでほしいなと切に願います。

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