自分のチームで勝つ時代

【スパーク イーグルT1G D.ガーニー ベルギーGP 1967】
ジャック・ブラバム、ブルース・マクラーレンら有力ドライバーが自分のプライベートチームを持ち始めた時代。アメリカ人の有力レーサー、ダン・ガーニーも母国の支援を受けてチームを設立します。

アメリカ人ながらスポーツカーでの実績が認められフェラーリからF1デビューを飾ったガーニー。その後ポルシェ、ブラバムと渡り歩きますが、オーナードライバーの影響を受けてかアメリカの支援を受けてイーグルを設立。F1とインディの両方に参戦し、F1には1966年から1968年までの3年間、計24戦にエントリーします。

F1では累計リタイア率が7割越えとあまり良い成績を残していないのですが、1967年ベルギーGPでは予選2位からクラーク、スチュワートを抑えてチームに初の勝利をもたらします。ジャック・ブラバムに続くオーナードライバーによる優勝で、アメリカ人によるアメリカ製マシンでの唯一の優勝となりました。現在も「アメリカ製」マシンとして初にして唯一のF1優勝記録なので、2026年から参戦するキャデラックが更新したら再び注目を集めそうですね。でもキャデラックって英国で作るんだっけ?

流線形のマシンに鋭利なノーズが美しいこのマシン。60年代の優勝マシンにはこうした造形美を感じるマシンが多くあるのですが、時代背景が古すぎてマシンの凄さがあまり伝わりにくいですよね。しかも60年代後半はとんでもない高さのリアウイングが登場するので一気に醜くなってしまいます。本当にF1で美しいマシンが登場する期間は数年しかないなぁ……。

この優勝を挙げた1967年にはルマン24時間レースにも参戦し、フォードを駆って総合優勝を果たしたガーニー。この際行ったシャンパンファイトがモータースポーツ史上初の実施だったのだとか。国際モータースポーツ殿堂入りを果たした米国の古豪ドライバーであり、有名なガーニーフラップの発明や今日では当たり前のフルフェイスヘルメットの採用など、実績だけでなくスポーツの発展に大きく貢献し、2018年に亡くなっています。
「マシンは自分で作る、有力なエンジンさえ手に入ればいい」というプライベーター気運が高まったこの時代。この潮流に安価でパワーのあるDFVエンジンが登場しマシンへのスポンサー広告が解禁されたことで、1970年代にかけて一気にプライベートチームが増えていくことになります。
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