出世できなくなった人

【ミニチャンプス マクラーレンMP4-28 S.ペレス 2013】
ペレスがキャリアで初めてトップチームで走らせたマシン。しかしマクラーレンは既にトップチームから脱落しつつあり、さながら大手を振って沈みゆく客船に乗り込むようなものでした。

2012年のザウバーでの複数回表彰台を評価されたペレス。イタリアGPでアロンソを抜いたことで育成主のフェラーリと仲違いし、最大のライバルともいえるマクラーレンへの禁断の移籍を選択しました。
この当時のペレスはまさに怖いものなしという感じで、速くてお金もあるイケイケな出る杭状態でしたよね。

この年のマクラーレンは後のホンダとの暗黒期を示唆する不振ぶりで、32年ぶりに表彰台を獲得できない悲惨な成績でシーズンを終えました。
初優勝を期待していたペレスにとっては耐えられるものではなく、チームメイトのバトンにすら敵意むき出しで追い抜きを図り接触すら起こしてしまうのでした。結局マクラーレンを1年で追い出され、ペレスのトップチームでの夢は長く途絶えることとなります。

深刻な不振を極めた「MP4-28」ですが、ミニカーの出来も散々で個体差がひどいです。2013年のミニチャンプスはもともと個体差が大きいのですが、下位に沈んだマクラーレンは冷遇されたのか、バトン車に至ってはまともなヘルメットデカールのモデルをまだ見たことがありません。

最高位5位と数多の印象に残らないレースでチームを去ったペレス。以降は中堅フォースインディアに拾われてレースを続けますが、この年の挫折が影響したのか以降は素晴らしいチームプレーヤーとなり、中堅チームをトップに導く原動力としていくつもの表彰台をもたらしていきました。
そうした努力が評価され、2020年に初優勝を果たすと2021年からは8年振りにトップチーム、レッドブルへ移籍。レッドブルでは成績に恵まれたものの最後は針の筵状態だったので、ペレスはトップチームに馴染まない宿命だったのかもしれませんね……。
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